「Microsoft SharePoint Server」の脆弱性はパッチだけでは不十分 注意点は?専門家が指摘する真の脅威

「Microsoft SharePoint Server」に脆弱性が見つかり、攻撃への悪用も確認されている。被害組織は全世界にある。パッチは出たが、その適用だけでは不十分だという。なぜなのか。

2025年07月31日 06時00分 公開
[Shane SniderTechTarget]

 セキュリティベンダーEye Securityは2025年7月、Microsoftの社内ポータルサイト構築ツール「Microsoft SharePoint」のオンプレミス版「Microsoft SharePoint Server」に脆弱(ぜいじゃく)性を見つけた。同製品のユーザー組織に対し、この脆弱性を悪用した攻撃について警鐘を鳴らしている。特に危険なのは、パッチ(修正プログラム)を適用しても侵害リスクを払拭し切れない可能性がある点だ。そのような危険をはらむ理由と対策を解説する。

パッチ適用だけでは不十分な理由と講じるべき対策

 今回見つかった脆弱性「CVE-2025-53770」は、標的システムで不正なプログラムを動作させるリモートコード実行(RCE)を可能にするものだ。Eye Securityが発見し、2025年7月19日(米国時間)に関連情報を公開した。その時点では脆弱性は未修正だった。Eye Securityは、Microsoft SharePoint Serverのユーザー組織への攻撃にCVE-2025-53770が使われていることも確認済みだという。Eye Securityによる情報公開後、Microsoftはパッチを提供した。パッチの対象は「SharePoint Server 2019」と「SharePoint Server 2016」だ。

 米国のサイバーセキュリティインフラストラクチャセキュリティ庁(CISA)のサイバーセキュリティ部門で暫定エグゼクティブディレクターを務めるクリス・ブテラ氏は、「米国政府はMicrosoftと協力して迅速に攻撃に対処している」と述べる。Microsoft SharePoint Serverは、米国の政府機関が広く採用しているツールだ。政府機関は一般企業と比べ、コストやセキュリティ面での制限からクラウドサービスの導入をためらう傾向がある。

 セキュリティベンダーPalo Alto Networksの脅威分析部隊「Unit 42」によると、攻撃者はCVE-2025-53770を悪用し、Microsoft SharePoint Serverと連携しているツールに侵入する恐れがある。具体的にはオフィススイート「Microsoft Office」やユニファイドコミュニケーション(UC)ツール「Microsoft Teams」、ファイル同期サービス「OneDrive」などだ。「攻撃はMicrosoft SharePoint Serverを入り口として広く拡大しかねない」とUnit 42のCTO(最高技術責任者)兼脅威インテリジェンス責任者のマイケル・シコルスキ氏は説明する。

 シコルスキ氏によれば、Palo Alto Networksは多要素認証(MFA)の回避や、暗号化されたデータの暗号鍵の盗難などにCVE-2025-53770が悪用された攻撃を確認している。被害組織は米国にとどまらず、全世界にあると同氏は語る。Microsoftはパッチの迅速な適用を推奨しているが、同氏は攻撃者がバックドア(侵入口)を設置した可能性があるため、「パッチ適用だけでは脅威に対処し切れない可能性がある」と注意を呼び掛ける。同氏はMicrosoft SharePoint Serverを一時的にインターネットから切断することを検討すべきだと言う。

 MicrosoftはMicrosoft SharePoint Serverのユーザー組織に対し、パッチの適用に加えて以下の対策を推奨している。

  • Microsoft SharePoint Server用の暗号化キー「ASP.NETマシンキー」を交換する
  • 「Windows」のセキュリティ機能「Windows Antimalware Scan Interface」(AMSI)をオンにする
  • 「Windows 10」「Windows 11」が搭載するエンドポイントセキュリティ機能「Microsoft Defender for Endpoint」を利用してエンドポイントを保護する

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