赤字を発表しつつもIT投資の勢いが衰えない大学がある。この大学でITチームを率いるCIOは異色のキャリアを積んできた。
ショーン・グリーン氏は、IT職からマーケティング職に転身後、再びIT職に戻り、英国のイーストアングリア大学(The University of East Anglia、以下UEA)で同校のITチームを率いる最高情報責任者(CIO)を務めている。UEAは2023年に入り、2023~2024年に3000万ポンドの赤字が見込まれることを公表した。だがIT投資の勢いは衰えていない。
UEAのCIOに就任する以前、グリーン氏はさまざまな分野で多種多様な経験を重ねてきた。その出発点となったのが、英国ウォーリック大学(The University of Warwick)で取得したITの修士号だ。UEAのCIOという役職を「非常に円熟した職務」だと語る同氏は、どのようなキャリアを歩んできたのか。
グリーン氏はウォーリック大学を卒業後、英国の大手ガス会社British Gasに就職し、ITの研修を受けながら大卒研修員としてキャリアをスタートした。British Gasに勤務していた時代には、IT分野でアナリストプログラマーとしてさまざまな役割を担い、データベース言語SQLや、Oracleが提供する技術に習熟した。
その後、英国の保険会社Churchill Insurance(2012年よりDirect Line Insurance Group傘下)に転職し、キャリアの大きな転換期を迎える。当時の同社はスタートアップ(設立後間もない企業)で、グリーン氏は初期メンバー50人の従業員の一人として入社した。
グリーン氏はChurchill Insurance にIT職の枠で採用されたが、後にマーケティング職に転身する。「Churchill Insuranceは革新的な会社だった」と同氏は当時を振り返る。マーケティング職では、新しい保険商品の投資対効果検討書を策定する業務に携わった。
マーケティング分野で本格的なキャリアを歩み始めたグリーン氏だったが、1990年代後半に大手保険会社Avivaに転職し、IT職寄りのキャリアに戻った。Avivaでは初代カスタマーマーケティングマネジャーに就任し、「顧客の囲い込み」「抱き合わせ販売」「インサイト(洞察)の提供」を目的に、1500万人に上る顧客のマーケティングデータベースを構築した。この経験をきっかけにグリーン氏はAvivaでデータウェアハウス(DWH)プロジェクトのプログラムマネジャーに起用され、再びIT部門に所属することになった。「この時点でキャリアは振り出しに戻った」とグリーン氏は話す。
次回は、グリーン氏がUEAに転職した経緯と理由を紹介する。
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