英国の卒業認定試験「GCSE」にコンピュータサイエンスが加わったのは2010年代だが、ITのさまざまな技術革新があったにもかかわらずカリキュラムの変更がないことを業界人は疑問視する。ある女性管理職の見解は。
英国における義務教育後の卒業認定試験「GCSE」(General Certificate of Secondary Education)には、STEM(科学、技術、工学、数学)分野の科目がある。英国政府は2010年代前半、アルゴリズムやコンピュータに関する考え方などのコンピュータの重要な概念を幼齢期から学習することを目的としたカリキュラムを導入した。それ以来、このカリキュラムは現在まで続いている。
技術進化の早さに追随し、技術スキルのギャップを埋め、潜在的な男女格差の問題を解消するために、英国の教育制度にはどのような変化が必要なのか。IT企業の女性管理職の見解を紹介する。
技術動向や業界が求めるスキルは絶えず変化している。GCSEのコンピュータサイエンスに関するカリキュラムが長期間変わっていないことについて、英国では度々議論が巻き起こっており、「将来を見据えたカリキュラムを継続的に開発すべきだ」という論調が高まっている。
IT業界は継続的に成長し、テキストや画像などを自動生成するAI(人工知能)技術「生成AI」、大規模言語モデルなどの新技術が世界を席巻している。「にもかかわらず、STEM分野のスキルギャップ(仕事に必要なスキルと、従業員が持つスキルの差)は依然解消されていない」。ITコンサルティング企業Node4でデジタル担当マネージングディレクターを務めるハンナ・バーチ氏はそう指摘する。バーチ氏によると、STEM関連業種では企業の半数近くが、高度なスキルを持つ労働者の雇用維持に難儀している。
一方、GCSEの受験科目でコンピュータサイエンスを選択した女子生徒は2022年から増加傾向にある。工学、数学、物理、化学の科目を受験する女子生徒数も、2022年から2023年にかけて増加している。コンピュータサイエンス分野を学習している生徒の割合が増えている状況に対して、バーチ氏は「以前よりも未来は明るい。コンピュータサイエンスに関する深刻な技能不足を抱える国として、これは非常に喜ばしい現象だ」と好意的な意見を示す。「技術分野の発展に後れを取らないためには、GCSEのコンピュータサイエンスに関するカリキュラムがどのような変化を遂げ、その変化がIT業界の役割とキャリアに必要なスキルにどう影響するかを見守っていきたい」(同氏)
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