タブレットを授業から解き放とう――広尾学園中学校・高等学校 金子 暁教諭iTeachersに聞く、IT活用「3つの秘訣」【最終回】

教育IT活用の代表校といえる広尾学園 中学校・高等学校。学校経営の危機を乗り越え、IT活用も成功に導いた現場指揮官の金子 暁教諭にその経緯を聞く。併せて、同校が利用するアプリ一覧表も提供する。

2014年10月08日 12時00分 公開
[神谷加代]

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写真 広尾学園の金子教諭

 広尾学園 中学校・高等学校(以下、広尾学園)は、東京都港区にある共学の私立中高一貫校だ。前身の順心女子学園時代に経営を揺るがすほどの生徒不足に陥った同校は、2007年に現在の校名へ変更。共学校化、進学校化などの大胆な学校改革を遂行した。結果、生徒数は3年で適正範囲にまで回復し、現在は都内でも受験者数が上位に入る人気校へと生まれ変わった。

 教育へのIT活用は2007年、帰国子女や外国人などさまざまな国籍の生徒が学ぶ「インターナショナルコース」を対象に、米AppleのノートPC「MacBook Pro」の1人1台環境をスタートした。その後、2011年度に医学部などの理系進学を目指す「医進・サイエンスコース」の高校1年生40人に対して、学校貸与でAppleのタブレット「iPad」を導入。翌2012年度には、新中学1年生全204人に対し、私物端末によるiPad導入を実施した(参考:私物iPadで学力を伸ばした中高一貫校、「タブレットは新たな文具」)。

 2014年度に入っても取り組みは止まらず、医進・サイエンスコースの生徒を対象に米Googleの「Chrome OS」搭載のノートPC「Chromebook」を導入。広尾学園では現在、在校生の3分の2に当たる950人が何らかの私物端末を持参するBYOD環境ができている。

 広尾学園でIT活用を始めとする学校改革の陣頭指揮を執るのが、教務開発統括部長の金子 暁教諭だ。同教諭は、「次世代の教育における『ICT』は『Information, Communication, and Technology』ではなく『Innovation, Creativity, and Technology』である」と主張。単なる活用に終わらず、創造のツールとしてデジタルデバイスを位置付ける。具体的には、希望者を対象にプログラミング講座やロボット講座を設ける他、最近ではITを使ったものづくりである「デジタルファブリケーション」にも力を入れるなど、幅広いIT体験ができる機会を生徒に提供している。

 本稿では、さまざまなIT活用を進める金子教諭に、IT製品を活用する上での秘訣を聞く。今回で最終回となる本連載では特別企画として、金子教諭の協力を得て、広尾学園が現在使用する全てのiPad用アプリケーションの一覧表を用意した。今後、iPadを活用する教育関係者の参考になることを願う。

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秘訣1:“主役”のタブレットよりも“舞台裏”のインフラに目を向けるべき

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