英国の卒業認定試験GCSEの結果によると、コンピュータサイエンスを受験する女子生徒の数は増加傾向を見せている。ただしIT業界に身を置く女性管理職は、女子生徒がSTEM分野を学ぶのを阻害する「壁」に課題を感じている。
英国における義務教育後の卒業認定資格「GCSE」(General Certificate of Secondary Education)で、コンピュータサイエンスを受験する女子生徒数が増加傾向にある。GCSEは英国で中等教育を受けたことを証明する資格で、主な対象は14歳から16歳の学習者だ。
技術分野のキャリアを選択する女子生徒の未来には、小さくない壁が立ちはだかっている。この状況に変化の兆しはあるのか。
GCSEの受験科目でコンピュータサイエンスを選択した全生徒数は、2019年の8万27人から、2020年には7万8459人に減少したが、2021年以降は3年連続で前年比増を記録している。2021年の受験者数は7万9964人、2022年は8万1120人、2023年は9万558人だった。
2022年にGCSEでコンピュータサイエンスを受験した女子生徒数は1万7264人だったが、2023年には1万9061人に増えている。ただしGCSEでコンピュータサイエンスを受験する女子生徒数には波がある。2019年の女子受験者数は1万7158人だったが、2020年には1万6919人、2021年には1万6549人と、2年連続で前年を下回っている。
女子生徒がSTEM(科学、技術、工学、数学)分野に興味を持つことを妨げる障壁は依然として存在する。分かりやすいロールモデルの不在、技術分野で働く人に対するネガティブな固定観念、業界全体にインクルーシブ(包摂的)な文化が欠如していることなど、要因はさまざまだ。
「歴史的に見て、ネガティブな固定観念によって『自分には技術分野で成功するのに必要な素質がない』と考える女子生徒は後を絶たなかった」。企業向けのオンライン学習サービスを提供するSkillsoftでEMEA(欧州、中東、アフリカ)地域担当バイスプレジデントを務めるアガタ・ノバコフスカ氏はそう話す。2023年にGCSEで技術関連の科目を受験する女子生徒数が増えたことについて、ノバコフスカ氏は「このような時代遅れな感じ方が多少なりとも緩和されたことの表れ」だと評価する。しかし同氏は、技術分野に対する女子生徒の関心が年齢を重ねるごとに低下していると考えており、「このような事態を放置するわけにはいかない」と警告する。
中編は、コンピュータサイエンスにおけるGCSEの成績が、男女でどれだけの差がみられるのかについて解説する。
米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
ハロウィーンの口コミ数はエイプリルフールやバレンタインを超える マーケ視点で押さえておくべきことは?
ホットリンクは、SNSの投稿データから、ハロウィーンに関する口コミを調査した。
なぜ料理の失敗写真がパッケージに? クノールが展開する「ジレニアル世代」向けキャンペーンの真意
調味料ブランドのKnorr(クノール)は季節限定のホリデーマーケティングキャンペーン「#E...
業界トップランナーが語る「イベントDX」 リアルもオンラインも、もっと変われる
コロナ禍を経て、イベントの在り方は大きく変わった。データを駆使してイベントの体験価...