会議室の参加者とリモートでの参加者が混在する「ハイブリッド会議」では、参加者の表情やしぐさを捉えにくくなりがちだ。そうした状況が、会議参加者のそれぞれにある問題を引き起こす可能性がある。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)をきっかけに、オフィスからの参加者とリモートでの参加者が混在するWeb会議「ハイブリッド会議」の開催が広がった。コミュニケーション研修を提供するSpeaker DynamicsのCEOであるカリン・リード氏によると、ハイブリッド会議ではある問題が発生しがちだ。本稿は4つの問題のうち4つ目を紹介する。
「会議中の議題や質問、発言が増えやすい会議の場合、会議室にいる参加者はチャットでメッセージを送信したり質問をしたりして、リモートでの参加者と積極的にコミュニケーションを取るべきだ」。調査会社Metrigyでアナリストを務めるアーウィン・レザー氏はそう指摘する。事前に詳細な議題を設定し、会議の冒頭に質疑応答の時間を設けることで、スムーズな進行や短時間の会議を実現できるとも同氏は指摘する。
リード氏は、ハイブリッド会議では「近接性バイアス」が問題になることがあると分析する。近接性バイアスは、物理的に距離が近くて対面の機会が頻繁にあったり、対面の時間が長かったりする相手に好意を持ちやすく、優遇してしまう心理傾向を指す。ハイブリッド会議においては、会議室の参加者は会議室の参加者同士で、リモートでの参加者はリモートでの参加者同士でそれぞれに関わりたがる傾向にあるという。
会議室にいるかリモートで参加しているかどうかにかかわらず、「全員が同じ場にいる」という意識を高めるには、会議のガイドラインを作成するのが役に立つ。例えば「質疑応答では最初にリモートでの参加者に意見を求める」といった具合だ。このような取り組みを経て「有意義な意見を発信する参加者がこの場にいるようだ。その人の行動を見逃さないようにしよう」と参加者は考えるようになるとリード氏は話す。
ハイブリッド会議を有意義にするためのガイドラインの作成に際しては、「ハイブリッド会議を試験的に開催するのが効果的だ」とリード氏は助言する。具体的には、さまざまな会議用デバイスを試験的に設置したり、さまざまな会議運営手法を導入したりするとよい。会議後、参加者から得たフィードバックを基にガイドラインを作成することで、参加者が会議に何を期待しているのかを理解できるようになる。
一方で、Web会議ツールベンダーは、より良いハイブリッド会議の開催に向けた技術やサービスを開発、リリースし続けている。このような新製品やサービスの導入も踏まえたガイドラインの作成が必要だ。
「臨機応変に対処しつつ微調整しながら、より良いハイブリッド会議を作り上げる姿勢が必要だ」(リード氏)
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