コンシューマー向け製品に比べると、企業向けの「Web会議デバイス」は一般的に高価だ。それでも導入を検討すべきなのは、どのようなニーズを抱える企業なのか。
自宅や会議室での用途を想定した企業向けの「Web会議デバイス」は、コンシューマー向け製品と比べると機能や管理面のメリットがあるものの、普及は進んでいない。「コンシューマー向け製品で十分だ」と考えるユーザー企業が一定数ある中で、Web会議デバイスベンダーは自社製品の販促に向けてどのような課題を認識し、どのようにして新しいニーズを見つけようとしているのか。
「Web会議デバイスの最大の課題は、実際にデバイスを試してもらわないと、価値を実感してもらいにくいことだ」。Web会議デバイスベンダーNeatframeのCEOサイメン・テイグレ氏は、こう指摘する。同社のWeb会議デバイス「Neat Frame」は、Appleのタブレット「iPad」を少し大きくしたような見た目をしているが、iPadよりもはるかに高価だ。そのため「Neat Frameの役割をWeb会議だけだと考えるなら、ユーザー企業にとっては購入する理由を見つけにくい」とテイグレ氏は語る。
Neatframeは、ノートPCとの併用を想定してNeat Frameを設計した。従業員はノートPCで作業をしながら、Neat FrameでWeb会議ができる。テイグレ氏によれば、Neat Frameはオフィスの共有デスク(ホットデスク)や小規模会議室にとどまらず、さまざまな場所で利用可能だ。そのため「バーチャルレセプション」の実現に、Neat Frameが役に立つ可能性があるという。バーチャルレセプションは、通話可能な時間を発信者に公開し、通話不可能な時間(休日、昼休み、営業時間外など)にはビジネスチャットやメールを選択してもらうなど、発信者にコミュニケーション手段の選択肢を提供することだ。
PCベンダーのHPは、Web会議デバイスベンダーのPlantronics(Polyの名称で事業展開)を買収した。HPにとってのPoly買収のメリットは「ディスプレイ、キーボード、マウスなどのHP製品を、PolyのWeb会議デバイスとバンドル(組み合わせて販売)できることだ」と、調査会社Metrigyのアナリストであるアーウィン・レザー氏は考える。Logitech Internationalも、PC周辺機器とWeb会議関連システムの事業を密接に連携させ始めている。
Cisco SystemsのWebex Devices担当シニアバイスプレジデント兼統括マネジャーであるスノーレ・キャスブ氏によると、
Cisco SystemsのWeb会議デバイスは多岐にわたる。ノートPCに取り付けられるシンプルなWebカメラから、4K(4000×2000ピクセル前後の解像度)ディスプレイやノイズキャンセリング機能付きマイクを備えるオールインワンデバイス(ディスプレイ、Webカメラ、マイク、スピーカーが一体化したデバイス)の「Webex Desk Pro」までさまざまだ。同社はこれらのWeb会議デバイスを自社製品/サービスにバンドルしている。Web会議デバイスとマネージド無線LANサービス「Cisco Meraki」を組み合わせたパッケージを選べば、自社の無線LANが使えなくなった場合には「4G」(第4世代移動通信システム)のモバイルネットワークを利用することが可能だ。
調査会社Let's Do Videoの創業者でCEOのデビッド・マルドウ氏は、コンタクトセンターにWeb会議デバイスのニーズを見いだしている。新しいコンタクトセンターを一から立ち上げ、全てのオペレーターがWeb会議を快適にできるようにしたいと考えるならば、企業はWeb会議デバイスの導入を検討する余地がある。
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