SymphonyAIの反マネーロンダリング(AML)システム「Sensa-NetReveal」は、金融機関を取り巻く法的規制やITインフラなどの制限を問わずに導入を可能とする仕組みを目指したという。同社金融サービス部門のプレジデントに話を聞いた。
AI(人工知能)技術ベンダーSymphonyAIは大手金融機関向けに、マネーロンダリング(資金洗浄)の防止や調査を支援する製品群「Sensa-NetReveal」を提供している。同社金融サービス部門のプレジデントを務めるマイク・フォスター氏に、金融機関が反マネーロンダリング(Anti Money Laundering:AML)を目的としてAI技術を求める理由と、AI技術を実装したSensa-NetRevealについて聞いた。
―― 金融機関がAMLのプロセスを構築する時、所属する行政区画や法規制によって検討すべき点は異なります。これらの違いに、SymphonyAIはどのように対処していますか。
フォスター氏 2021年ごろまで、金融機関は自社の技術やデータに合わせてカスタマイズしたAMLシステムを導入することが一般的だった。システムの導入には金融機関のIT部門とソフトウェアベンダーに多大な労力がかかり、数週間や数カ月、場合によっては数年を要する場合もあった。
Sensa-NetRevealは、データをリアルタイムで処理し、学習するAIモデルを搭載する。従来のシステムに比べると、金融機関ごとのニーズやデータ、業務フローに基づいてシステムを設定しやすくなっている。システムが稼働してから効果を発揮するまでの期間も、従来は数カ月かかっていたものが、8〜12週間程度に短縮できるようになった。
稼働するのがオンプレミスインフラなのかクラウドサービスなのかに関係なく、Sensa-NetRevealではソフトウェアの動的な更新ができるため、一定のセキュリティが保たれる。高度な専門知識を要求する作業に際しては「生成AI」のツールが助けになるはずだ。
―― 金融機関は、独自に構築した既存のAMLシステムからSensa-NetRevealへの移行を、どのように進めればよいですか。
フォスター氏 当社の顧客である金融機関は、どこも何らかのAMLシステムとデータモデルを持っている。ある程度の規模の金融機関であれば、1つの調査チームに3000人を超える従業員が従事している場合がある。
金融取引のトランザクション(一連の処理)が止まることはない。そのような中で現行のAMLシステムを停止すれば混乱を招く可能性がある。現行のAMLシステムをSensa-NetRevealに置き換える顧客の多くは、新旧のシステムを1年間並行して稼働させてから、旧システムを停止する手続きを踏んでいる。
金融機関は違法行為や未知の犯罪的脅威、法的リスクを見逃していないかどうかを確認する必要がある。Sensaは機械学習モデルを活用した異常検出の仕組みを備えており、誤検知を減らしながら金融犯罪の兆候を分析する。
Sensa-NetRevealはオンプレミスインフラの他、クラウドサービス群の「Microsoft Azure」「Google Cloud」「Amazon Web Services」(AWS)で利用することが可能だ。
後編は、技術に関する展望についてフォスター氏に話を聞く。
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