SymphonyAIで金融サービス部門のプレジデントを務めるマイク・フォスター氏は「金融機関がマネーロンダリングに対抗するには、リアルタイムの脅威探知が欠かせない」と話す。危機感の背景にある“現実”とは。
金融機関にとってマネーロンダリング(資金洗浄)は大きな脅威であり、各社が反マネーロンダリング(Anti Money Laundering:AML)を目的としてAI(人工知能)技術の活用を模索している。AI技術ベンダーSymphonyAIは大手金融機関向けに、マネーロンダリングの防止や調査を支援するSaaS(Software as a Service)を提供している一社だ。SymphonyAIの金融サービス部門プレジデントを務めるマイク・フォスター氏に、マネーロンダリングの対抗策としてAI技術が役立つ理由、同社の事業拡大計画や技術投資の展望について話を聞いた。
SymphonyAIは2017年に設立した。同社の創業者で会長のロメッシュ・ワドワニ氏は、AI技術がITに変革をもたらすことを早期から認識していたという。そこで同社は、汎用(はんよう)的なAIの開発ではなく、小売業、製造業、メディア業界など特定の産業分野向けサービス、そしてマネーロンダリング防止とコンプライアンス対策に焦点を当てた金融系サービスの開発に取り組んできた。2022年10月には軍需企業BAE Systems傘下で金融犯罪検出サービスを提供するNetRevealを買収。フォスター氏はBAE Systems在籍時に金融部門でマネージングディレクターを務めており、SymphonyAI入社後は金融サービス部門のプレジデントとなった。
―― SymphonyAIは自社製品・サービスを通じて、マネーロンダリングの問題にどのように対処していますか。
フォスター氏 金融機関は規制当局の取り決めを順守し、テロや人身売買などの犯罪にひも付くマネーロンダリングを防がなければならない。金融機関のITインフラには個人情報や金融商品、サービスといったさまざまなカテゴリーのシステムとデータが混在しており、そのトランザクション(一連の処理)は過去2、3年で倍増したとみている。複雑化したシステムかつ大量のデータの中からマネーロンダリングに関わるデータを検出し、分析できるサービスはほとんどないと言ってよい。
当社は金融機関のAML業務を支援する製品群「Sensa-NetReveal」を提供している。SaaSであるため金融機関が組織規模や利用負荷に合わせて拡張できること、AI技術を活用しておりリアルタイムに洞察を得られることが強みだ。
Sensa-NetRevealは、基本的な規制やルールをシステムが判別し、1万ドルを超える金融取引や、正常かどうか疑わしい金融取引にフラグを立てられるようにしている。問題があると判断した場合は調査を実施する。しかしそれだけではもはや十分とはいえない。
1年間で資金洗浄される犯罪収益は2兆~4兆ドルもの規模に及ぶ。犯罪者たちは金融機関と同等の技術や専門知識を使いこなしている。だからこそ世界中のあらゆる金融機関が、特定の攻撃ベクトル(手段や経路)や犯罪行動のデータを使ってほぼリアルタイムで自己学習を続けるAI技術を利用し、対抗する必要がある。
中編は、Sensa-NetRevealがどのように役立つのか、金融機関が抱えるIT課題を踏まえて解説する。
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