スーパーが「位置情報」と「コンピュータビジョン」を使うと何ができるのか「コンピュータビジョン」が実店舗にもたらすメリット【後編】

Eコマースだけでなく、実店舗でも最新のAI技術が導入されつつある。「コンピュータビジョン」を中心に、小売業者のAI技術活用例を取り上げる。

2019年08月22日 05時00分 公開
[David A. TeichTechTarget]
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 小売店で活用が広がると考えられる人工知能(AI)技術の一つに、画像処理を通じてその内容を認識し、理解する「コンピュータビジョン」がある。前編「無人コンビニAmazon Goも活用 『コンピュータビジョン』が買い物を変える」は、コンピュータビジョンのメリットと、その活用例としてAmazon.comのコンビニエンスストア「Amazon Go」の事例を紹介した。Amazon Goはコンピュータビジョンと機械学習を併用して、レジでの精算プロセスを完全になくした。

 コンピュータビジョンは精算を素早くできるようにするだけでなく、その正確性を高めることもできる。精算時に顧客が購入する商品を正しく把握することは、店員と顧客の両方のエクスペリエンス(経験価値)を向上させる上でプラスに働く。

 例えばスーパーマーケットにバーコードが貼られていない商品があると、レジの担当者やセルフレジを使用している顧客は、ディスプレイに表示されるリストから間違った商品を選ぶ可能性がある。コンピュータビジョンシステムは商品を的確に認識し、問題が発生したときに店員にアラートを送る機能もある。

コンピュータビジョンによる単純作業の自動化

 コンピュータビジョンは、小売業者が抱えるもう一つのビジネス上の課題に対処することにも役立つ。それは万引きや不正の防止だ。

 現在、複数台の防犯カメラの映像を用いて、目視で店内を警備するスーパーは少なくない。だが買い物客が多い店内では、不審な行動が見逃されることもあり得る。

 深層学習などの機械学習手法を用いたコンピュータビジョンシステムは、不審な人物を始めとしたセキュリティリスクを特定したら、店舗スタッフに通知して、即座の対策を可能にする。画像解析に特化しているため、人間のように監視作業に疲れたり、注意をそらしたりすることはない。

 セキュリティの面では、コンピュータビジョンが人間に取って代わることはない。小売業者がコンピュータビジョンに期待すべきなのは、店舗に設置している監視カメラの精度を高め、警備業務の単純作業の部分を自動化することだ。

位置情報とコンピュータビジョンがもたらす新たな選択肢

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