時事通信社やマネーフォワードが自社サービスのシステムにクラウドサービスを活用した事例や国内のパブリッククラウド市場調査結果など、クラウドに関する主要なニュースを紹介する。
国内企業で、自社サービスを運用するインフラとしてクラウドサービスを活用する動きが広がっている。金融関連サービスのシステムにクラウドサービスを選んだ2つの導入事例や、国産IaaS(Infrastructure as a Service)の新サービスの登場など、クラウドに関する主要なニュースを6つ取り上げる。
時事通信社、金融情報配信のデータ管理システムを自社開発からクラウドへ移行
マネーフォワード、「マネーフォワードFintechプラットフォーム」にAWSを採用
オカムラ、データ分析システムを「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)に移行
2020年の国内パブリッククラウド市場規模は1兆円超え IDC Japan調べ
仮想マシンを台数ごとの定額制で利用可能、NTTスマートコネクトが新IaaS
IBM Cloudや他社クラウド、オンプレミスを統合管理する「IBM Cloud Satellite」
為替や株価などの金融情報配信サービスを提供する同社は、提携機関から収集した金融情報に関するデータを管理し、顧客となる報道機関へ情報を自動配信するための「Triton」というシステムを運用する。従来はTritonを自社開発していたが、保守や新機能追加時の工数とコストが課題となっていた。同社はコーディングやサーバの管理が不要なクラウドサービスにTritonを移行させることを決断。インフォマティカが提供するデータマネジメントのクラウドサービス「Informatica Intelligent Cloud Services」(IICS)をベースに再構築した。IICSの採用に当たっては、ノンコーディングでシステムを改修しやすい点や、インターネットを使って提携機関から情報を取得しつつ、取得したデータを社内ネットワークで安全に管理できる点を評価した。2021年3月に新しいTritonの運用を開始。今後は社内の全データのメタデータを一元管理して活用しやすくするためのデータカタログを作成するなど、データマネジメントの強化を目指す。(発表:インフォマティカ<2021年3月24日>)
マネーフォワードFintechプラットフォームは金融アプリケーションを開発するための金融機関向けサービス。マネーフォワードが提携する金融機関や決済サービス企業から決済データや資産データを収集する「アカウントアグリゲーション基盤」と、それらのデータを蓄積するデータベース、データ分析機能を備える。マネーフォワードはAmazon Web Services(AWS)のクラウドサービス群の採用に当たり、データアナリティクスや機械学習などのマネージドサービスが豊富にある点、閉域接続サービスの「AWS PrivateLink」を利用してAWS内の各金融機関のシステムとセキュアにデータ連携ができる点を評価した。マネーフォワードの他サービス「マネーフォワード クラウド」「マネーフォワード ME」などでのAWSの利用実績とサポート体制も選定を後押ししたという。(発表:マネーフォワード<2021年3月22日>)
オフィスや店舗向け機器の製造と販売を手掛けるオカムラは、販売や生産のデータを扱うデータ分析システムを構築し運用している。従来はデータ分析システムのインフラとして、オンプレミスのデータウェアハウス(DWH)アプライアンスを利用しており、繁忙期に合わせてハードウェアのサイジングをしていたため、時期によっては余剰リソースが生じていた。オカムラはリソースの増減が容易でAI(人工知能)技術やIoT(モノのインターネット)などの新技術を採用しやすいクラウドサービスへのデータ分析システムの移行を決断。2020年8月にOCIのDWHサービス「Oracle Autonomous Data Warehouse」とデータ分析サービス「Oracle Analytics Cloud」に移行させた。オカムラはこれらのサービスについて、同社がこれまで利用してきたビジネスインテリジェンス(BI)ツールの「Oracle Business Intelligence Enterprise Edition」との互換性が高い点や、DWHの容量を自動でサイジングするオートスケーリング機能を評価する。(発表:日本オラクル<2021年3月10日>)
IDC Japanの調査によると、国内の2020年の国内パブリッククラウドの国内市場規模は1兆654億円になり、1兆円の大台を突破した。2020年~2025年の年間平均成長率は19.4%で推移し、2025年の市場規模は2020年比で2.4倍の2兆5866億円になると同社は予測する。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大が国内企業のパブリッククラウド活用を促しているという。企業がパブリッククラウドを活用し、DX(デジタルトランスフォーメーション)やデータ駆動型ビジネスを進めるには、パブリッククラウドの用途を、業務を維持する事業継続のためのインフラから、自社の部門間や社外の関連企業を横断してデータの共有や活用を促すためのインフラへと移行させることが重要だと同社は指摘する。(発表:IDC Japan<2021年3月8日>)
新たに提供する「SmartConnect Cloud Platform(Type-V)」によって、VMware製品による仮想マシンを1台から利用できるようにする。ユーザー企業はインフラ管理ツールの「VMware vCenter」を通して仮想マシンを管理する。SmartConnect Cloud Platform(Type-V)は国内にあるデータセンターで稼働し、NTTスマートコネクトがハードウェアの管理を担当する。サーバやストレージ、ネットワークを冗長化し、複数のストレージを使ったバックアップ機能を標準提供することで可用性を高めた。仮想マシンやストレージの料金を定額制にすることで、コスト管理をしやすくした。仮想マシンやサーバの性能ごとに複数のプランを提供しており、仮想CPU(vCPU)が1コアでメモリが1GBの仮想マシンが月額2980円(税別)から。(発表:NTTスマートコネクト<2021年3月9日>)
IBM Cloud Satelliteは、IBMのクラウドサービス群「IBM Cloud」の管理コンソールを介して、IBM Cloudや他社のクラウドサービス、オンプレミスのデータセンター、エッジ(データ発生源の近く)など複数のインフラを一元管理できるようにする。管理対象インフラを横断したアプリケーションの構築や実行も実現する。IBMは低遅延かつ大量のデータ処理が求められるIoTアプリケーションや、法規制やセキュリティ対策の観点から自社のデータセンターで管理することが求められるアプリケーションなどへの利用を見込んでいる。利用料金は1vCPU当たり1時間ごとに0.023米ドル。(発表:日本アイ・ビー・エム<2021年3月2日>)
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契約業務の効率化やコストの削減といった効果が期待できることから、多くの企業で「電子署名」の導入が進んでいる。一方で、訴訟問題へと発展した際に証拠として使えるのかといった疑問を抱き、導入を踏みとどまるケースもあるようだ。
半導体ベンダーBroadcomは仮想化ベンダーVMwareを買収してから、VMware製品の永久ライセンスを廃止した。その永久ライセンスを継続する非公認の方法とは。
クラウドファーストの流れが加速する中、無計画に構築されたハイブリッドクラウドの弊害が多くの企業を悩ませている。ITオペレーションの最適化を図るためには、次世代のハイブリッドクラウドへのモダン化を進めることが有効だ。
ワークロードを最適な環境に配置できる手法として注目され、多くの企業が採用しているハイブリッドクラウド。しかし、パフォーマンス、法令順守、コストなどが課題となり、ハイブリッドクラウド環境の最適化を難しくしている。
システム基盤をオンプレミスで運用するか、データセンターやクラウドで運用するかは、業種によって大きく異なる。調査結果を基に、活用の実態を探るとともに、最適なクラウドサービスを考察する。
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お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
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