専門家が提唱する「ジェネレーションN」は、デジタルファーストの体験を好む集団を指す造語だ。テレワークとオフィスワークを組み合わせて働く人々への調査データを基に、ジェネレーションNの働き方を探る。
マーケティング戦略の専門家でデジタル人類学者のブライアン・ソリス氏が提唱した「ジェネレーションN」(Generation Novel)は、デジタルファーストの体験を好み、自身が購入するブランド、勤務する企業、支援する企業に対して「パーソナライゼーション」「カスタマイズ」「透明性」の価値を重視する集団だ。ジェネレーションNとは特性の世代を指す概念ではなく、異なる世代の人々の集まりだ。彼らは家庭でも職場でも、かつてないほどデジタル技術を理解し、利用し、必要としている。
Hewlett Packard Enterprise(HPE)傘下のAruba Networksは2021年8〜9月、イタリア、フランス、スペイン、ドイツ、英国でハイブリッドワーク(テレワークとオフィスワークを組み合わせた業務形態)をしている労働者5018人を対象に調査を実施した。
この調査結果をまとめたレポート「A hybrid workplace for a hybrid workforce――Is your business ready to support Generation Novel?」によると、回答者の85%がジェネレーションNの特徴に共感すると回答した。回答者の78%は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行(パンデミック)前よりもパンデミック後の方がデジタル技術を利用していると答えた。
回答者の75%は自らをデジタル技術に精通していると考えており、69%が職場で使用しているデジタル技術について「もっと言いたいことがある」と感じていた。回答者の71%は、自分が職場で使う機器の設定を個人の好みに合わせてカスタマイズできることが重要だと考えていた。ただし自身の職場のデジタル技術に関して重要な選択権があると答えたのは、回答者の38%だった。回答者の35%は、適切なシステムやツールがないと生産性が下がると回答した。
ジェネレーションNが期待する「働きやすさの向上」と、自らの技術的能力に対する自信は、「従業員がいつ、どこで、何を使ってネットワークに接続するか」という場面でさまざまなセキュリティリスクをもたらす可能性がある。例えば回答者の50%は「パンデミック前よりもパンデミック後の方が、技術的問題を自分で解決しようとする傾向がある」と主張している。
後編は、調査の続きを紹介しつつ、ジェネレーションNの特性がもたらす可能性のあるセキュリティ課題を考察する。
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