“つながらない会場”どう回避 国際展示場が挑んだネットワーク刷新の中身とは?世界有数の貿易ハブを目指すDWTC

ドバイの展示会場DWTCがExtreme Networksと手を組んで、大規模のネットワーク改修を実施した。どのような製品・技術を活用したのか。新しいネットワークで何ができるようになったのか。

2021年12月08日 05時00分 公開
[Joe O’HalloranTechTarget]

 ネットワークベンダーのExtreme Networksは、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ首長国にある展示会場Dubai World Trade Centre(DWTC:ドバイ世界貿易センター)の大規模なネットワーク改修を実施した。ネットワーク技術を活用することにより、会場内での快適な通信の実現を目指す。

 1979年に設立されたDWTCは国際会議や見本市の開催地となり、ドバイの貿易の発展に貢献してきた。2021年10月には、人工知能(AI)技術やロボット技術を披露する展示会「GITEX Global 2021」がDWTCで開催された。DWTCはこうした大型イベントを増やす方針を打ち出し、今後、会場内のネットワーク利用が増えることを見込んでいる。

“どこでもつながるイベント会場”へ 「新しいネットワーク」の気になる中身

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 今回のネットワーク改修は、Extreme Networksのネットワーク仮想化技術「Fabric Connect」やネットワーク管理ツール「ExtremeAnalytics」を採用。見込んでいるネットワークの利用増加に応じて迅速に制御できるよう、ネットワークを強化した。

 Extreme Networksによると、新しいネットワークでDWTCは会場の出入り口付近や売店といったエリアごとにネットワークの利用状況を可視化した上で、データ転送の最適化を図る。来場者が会場内のどこにいても快適にネットワークにアクセスできるようになるという。DWTCは新しいネットワークを踏まえ、会場内に非接触技術を採用したディスプレイを設置したり、新たな来場者向けアプリケーションを開発したりして、CX(顧客経験価値)の向上につなげたい考えだ。

 他にもDWTCは会場内に高精細撮影ができるカメラを設け、新しいネットワークによって会場内の映像をリアルタイムに転送し、分析する。物理的セキュリティの向上につなげるためだ。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)が続く中、検温データ管理といった感染予防対策にも新しいネットワークを活用する。

 新しいネットワークはセキュリティ機能を豊富に備える他、ネットワーク管理の自動化によってトラブルシューティングといった作業の負荷を減らす。DWTCはネットワークに接続しているユーザーやデバイス、アプリケーションを詳細に把握し、ネットワークの混雑を予測して、あらかじめ緩和策を講じられるようになるという。

 DWTCでIT担当のバイスプレジデントを務めるファリッド・ファルーク氏は、「今回のネットワーク改修によって世界有数の会場を目指すとともに、来場者向けのサービスを強化したい」と述べる。Extreme Networksの地域担当ディレクター、マーン・アルシャカルチ氏は、「最新技術を採用すれば、展示会場はビジネス力を磨き上げ、パンデミックを乗り越えるための武器を手に入れられる」と説明する。

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