ブンデスリーガやユーロ2024の競技場が「Wi-Fi 6」無線LAN“大規模導入”の訳7万5000席に高速通信

「IEEE 802.11ax」(Wi-Fi 6)準拠の無線LAN製品を導入することにした、ドイツの陸上競技場「ベルリン・オリンピアシュタディオン」。その無線LANは、誰にどのようなメリットをもたらすのか。

2021年10月22日 08時00分 公開
[Joe O’HalloranTechTarget]

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 ドイツの陸上競技場「ベルリン・オリンピアシュタディオン」(Olympiastadion Berlin)の運営会社、Olympiastadion Berlin社はネットワークベンダーのExtreme Networksと手を組み、場内の新しいネットワークを構築する。無線LAN規格「IEEE 802.11ax」(業界団体Wi-Fi Allianceが定める名称は「Wi-Fi 6」)を中核とした技術を駆使し、観客などの来客が快適にインターネット接続できるようにする。

1000カ所にAPを設置 観客の快適さだけではない“あのメリット”

 1936年にオープンしたベルリン・オリンピアシュタディオンは、約7万5000席を有する大規模のスポーツ施設。ドイツのプロサッカーリーグ「ブンデスリーガ」(Bundesliga)の試合や国際スポーツ大会の会場として使われている。2024年には欧州サッカー連盟(UEFA)主催のサッカー欧州選手権「UEFA EURO 2024」(ユーロ2024)の開催を控え、最新の通信環境を整えるのは喫緊の課題だ。

 Extreme Networksはベルリン・オリンピアシュタディオンとその周辺の約1000カ所に、スイッチ「ExtremeSwitching」や無線LANアクセスポイント(AP)「ExtremeWireless」を設置。場内の隅々まで電波が届く無線LANを構築する。これにより、来客はストレスを感じることなく、ソーシャルメディアに投稿したり、動画を閲覧したりできるようになる。

 Olympiastadion Berlin社は、スタッフやメディア関係者にも新しいネットワークを活用してもらい、イベント運営の効率を高める狙いがある。将来は、飲み物や軽食の売り場もインターネットにつなぎ、来客が席で注文して並ばずに受け取るといった活用も想定している。

 今回のネットワーク構築に当たり、Olympiastadion Berlin社は管理のしやすさや拡張性を重視した。新しいネットワークはセグメント(小規模ネットワークへの分割)機能を備え、「来客による利用」や「業務利用」といった用途に合わせてネットワークを分割し、管理の手間を減らす。AP追加時の自動設定が可能なため、簡単にネットワークを拡張できるという。

 Extreme Networksは専用ソフトウェアによってネットワークを可視化し、1つの画面でネットワークを監視できるようにした。これにより、Olympiastadion Berlin社はネットワークに接続したデバイスやアクセスしたアプリケーションを把握し、ネットワークの最適化を図る。

 新しいネットワークについて、Olympiastadion Berlin社のティモ・ローヴェッダーCEO(最高経営責任者)は「『何万人もの来場者が同時にインターネットに接続し、快適に利用できること』が必須の条件だった」と述べる。ローヴェッダー氏によると、今後は非接触やキャッシュレスの決済システムといった技術も導入する。そのためにも「新しいネットワークを活用したい」と同氏は言う。

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