小売・卸間に潜む課題を解決する流通BMS。使いようによっては業界全体のインフラとなり得るまで進化したEDIだが、流通BMSを導入するためには幾つか壁も存在する。
データ通信はもはや当たり前の時代となった。個人同士の情報交換でさえPCを使ったメール交換が盛んに行われるようになり、流通業でも企業間取引に必要なデータのやりとりは、コンピュータ対コンピュータで行うことが通例となっている。時代の進化とともに、データ交換の技術も、使用する通信回線・通信手順なども、より高度化しているのが昨今の状況である。
こうした環境をビジネスに生かさない手はない。EDI(Electronic Data Interchange)をはじめとする情報ネットワークを業界全体のインフラとして活用し、各社の競争力強化や業務効率化に役立ててほしい。そんな思いで当コラムの執筆に当たっている。
今やEDIは単なるデータ交換のためのシステムではなく、業界全体のインフラとなり得るまでに成長した。近年、流通業界では次世代EDI標準といわれる「流通BMS」(流通ビジネスメッセージ標準)が誕生し、本稼働に向けて動き始めている。こうした流れの中で流通業界の各企業はどのように対応し、何を目指していくべきか? 業界におけるEDIの実態を把握しながら、その答えを探してみよう。
第1回目となる今回は、小売業・卸売業間の現状に焦点を当て、そこに潜む問題点や課題を洗い出してみたい。
【第1回】小売業・卸売業のIT部門が流通BMSの導入前に考えるべきこと
【第2回】メーカー・卸間EDIの歴史に学ぶ、“徹底して標準を守る”重要性
【第3回】流通BMSが進展した後のSCM理想像とメーカー・卸・小売の役割
【第4回】日本のティッシュはなぜ安い? 業界標準EDIが実現する日本型SCM
【第5回】EDIの進化──マーケティングへの応用と流通業界横断の情報共有ネットワーク
【第6回】「問題解決型IT活用」を実現する情報化時代の経営の在り方
【第8回】大手卸売業の事例に学ぶ流通業のCIOに求められる適性
小売業におけるオンライン発注(EOS:Electronic Ordering System)は、日本チェーンストア協会(JCA)が1980年に制定したJCA手順によって行われている。JCA手順はアナログ電話回線を前提としてデータ交換を行うもので、これにより小売から卸に向けて発注データの送信が始まった。
以来30年もたっているのに、その後は何の進展もない。依然として発注データのみが片方向通信で送り続けられているのが現状だ。しかも、伝送フォーマットは各社各様で統一されておらず、それを受け取った卸側でフォーマット変換しないと受注処理ができない。その上、通信速度も処理速度も遅い、使い勝手が悪いなど、時代にそぐわない遅れたシステムとなっている。
インターネットが普及した現在、通信プロトコルはTCP/IPが一般的となり、通信速度も以前の200倍へと高速化した。そんな中、JCA手順はもはや過去の遺物と見なされ、通信機器メーカーでは次々と専用モデムの製造やメンテナンスを停止している。つまり、小売や卸は一刻も早くEOSから脱却しなければならないところまで追い込まれているのである。
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