DX推進に取り組む大手ビールメーカーHeineken。同社はDXをどのように捉え、何の取り組みを進めるのか。同社のデータ管理責任者に話を聞いた。
2022年9月、デジタルトランスフォーメーション(DX)関連のイベント「Digital Transformation Week」がオランダのアムステルダムで開催された。大手ビールメーカーHeinekenのデータ管理担当ディレクターを務めるエリザベス・オスタ氏は、イベントで同社のDXの取り組みと、DXにおけるデータの重要性について語った。
DXに取り組む企業の例に漏れず、Heinekenはシステムのモダナイゼーション(最新化)と簡素化を目指している。これは数年がかりの取り組みになる見込みだ。オスタ氏は「HeinekenにとってDXとは、顧客やサプライチェーン企業との連携を容易にできるようにすることだ」と述べる。これを実現するため、Heinekenはオスタ氏が中心となり、業務プロセスの再考と最新技術の導入を進めている。「目標は、Heinekenを最高のコネクテッドビールメーカーにすることだ」(同氏)
Heinekenのデジタルおよび技術部門のミッションは、「すぐ手に入るデータを提供すること」だとオスタ氏は語る。そのために必要なのは、従業員や取引先企業、顧客が必要なデータに簡単にアクセスできるシステム環境だ。もちろん、データ保護のポリシーや規制の枠組みを順守することも忘れてはいない。
標準的なデータのフォーマットを作り、データの一貫性を維持することがオスタ氏の仕事だ。同氏はHeinekenが以下を達成できるようにデータガバナンスを強化する。
オスタ氏は自身の職務について、「最高データ責任者(CDO)と同等だ」と説明する。ほぼ全ての企業でデータの重要性は増しており、さまざまな組織がCDOやそれに相当する職位を設けるようになった。
買い手と売り手を効果的に結び付けるサービスを構築するためには、すぐに活用可能な状態のデータと、適切に設計されたITシステムが必要不可欠だと同氏は指摘する。企業内でデジタル部門が孤立している状態では、新しいサービスの実現は難しい。「Heinekenはデジタル部門とデータ、技術が社内で連携できるようにしている」(同氏)
「DX推進に取り組む企業へのアドバイスは、『4つのC』に注目することだ」とオクタ氏は語る。4つのCは以下の通り。
価値の源泉を突き止め、短期計画と長期計画を立て、会社を段階的に変革していく方法を探求することが大切だ」とオクタ氏は強調する。
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