攻撃で“大慌て”になる企業に欠けていた「サイバーレジリエンス」の視点古いバックアップシステムに潜む危険【後編】

Cohesityの調査は、サイバー攻撃を受けた際のシステム復旧における課題を取り上げた。セキュリティ担当者が復旧作業に追われるのではなく、サイバー攻撃に対して先手を打つためには、何をすればいいのか。

2022年11月24日 05時00分 公開
[Stephen WithersTechTarget]

 バックアップツールベンダーCohesityの調査によると、およそ半数の企業が10年以上前のレガシーシステムをデータのバックアップと復旧に利用していた。他にも調査では、ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃を受けた後のシステム復旧時に、企業が認識している課題について紹介している。

「サイバー攻撃に先手を打つ」とは?

 調査は2022年4月にCohesityの委託先である調査会社Censuswideが実施したもので、米国、英国、オーストラリア、ニュージーランドの企業に勤務するITとセキュリティの意思決定者約2000人を対象とした。

 ランサムウェア攻撃を受けた後のシステムとデータの復旧時における課題について尋ねた設問では、32%の回答者が「バックアップと復旧に古いシステムを利用していること」を懸念事項として挙げた。最も多い懸念事項は「ITシステムとセキュリティ機能の統合」(41%)だった。他には以下のような懸念事項が挙がった。

  • IT部門とセキュリティ部門の連携不足(38%)
  • 災害復旧(DR)の自動化機能の欠如(34%)
  • データを最新、クリーン(感染していない)、イミュータブル(不変)な状態で保存する機能の欠如(32%)
  • 迅速かつ詳細なアラート機能の欠如(31%)

 「サイバー攻撃者がシステムに侵入した際に早期に検知・対処してシステムを復元する『サイバーレジリエンス』に対する責任を、ITとセキュリティの両部門が共有すべきだ」。Cohesityでオーストラリアおよびニュージーランド担当マネージングディレクターを務めるマイケル・アルプ氏はそう語る。IT部門とセキュリティ部門は、以下を実施する必要がある。

  • 攻撃を受ける可能性があるシステムの対象領域を理解する
  • データの保護や復旧の機能が、米国立標準技術研究所(NIST)が定めるセキュリティ対策のフレームワーク「Cybersecurity Framework」(CSF)に沿っているかどうかを評価する

 「最新のシステムを導入し、不足している技術を補うことで、IT部門とセキュリティ部門の負担を減らし、サイバー攻撃に対して先手を打つことができる」とアルプ氏は話す。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news193.jpg

IASがブランドセーフティーの計測を拡張 誤報に関するレポートを追加
IASは、ブランドセーフティーと適合性の計測ソリューションを拡張し、誤報とともに広告が...

news047.png

【Googleが公式見解を発表】中古ドメインを絶対に使ってはいけない理由とは?
Googleが中古ドメインの不正利用を禁止を公式に発表しました。その理由や今後の対応につ...

news115.jpg

「TikTok禁止法案」に米大統領が署名 気になるこれからにまつわる5つの疑問
米連邦上院が、安全保障上の理由からTikTokの米国事業の売却を要求する法案を可決し、バ...