英国はエネルギー分野のデジタル化を推進する一環で、さまざまな機器がネットワークに接続する分散型のシステム構築を目指す。具体的にどのような仕組みで、実現には何が必要なのか。
英国でエネルギー分野のデジタル化を推進するタスクフォースEnergy Digitalisation Taskforce(EDiT)は、新しいエネルギーシステムの在り方を検討している。EDiTが新たに発行したレポートに記載されたのは、各機器がネットワークを介してデータをやりとりする仕組みだ。エネルギー分野をどう変えようとしているのか。
EDiTが構想するのは、分散したエネルギー関連機器同士が相互に通信し、需給を自動的に調整して、人間による介入を最小限に抑えながら安定したエネルギー供給を実現するシステムだ。これには洋上風力発電所や家電も含まれる。1つのシステムに接続する各機器が、エネルギーに関するそれぞれのニーズや供給力を知らせる。
各機器がそれぞれのニーズを伝え合うネットワークを、レポートは「エネルギーネットワーク」と呼んでいる。このネットワークを構築して全体の需給バランスを最適化することで、各機器は二酸化炭素(CO2)の排出量やコストを最小限に抑えることも可能になる。
EDiTは、消費電力量が2キロワット時以上の重要なエネルギー関連機器に対して、最低限の制御用機器とネットワーク接続を義務付けるよう英国政府に提言している。エネルギー関連機器をネットワークに接続して制御可能にしておくことで、将来的に機器の改修が容易になると見込むためだ。
各機器をネットワークに接続するに当たって、EDiTは資産登録を効率化するために必要な事項についても英国政府とエネルギー規制当局に提言した。ネットワークへの資産登録を義務付けるための政策や規制を用意し、インフラの構築を進めることで、産業界は新たなエネルギー取引を促進するためのダッシュボードの開発を進めることが可能になるとEDiTはみる。
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