エネルギー企業のSiemens Energyは脱炭素化のために、オンプレミスインフラで稼働するアプリケーションやデータの「GCP」への移行を進めている。同社がGCPを選んだ理由は脱炭素化だけではない。他の理由は何か。
発電用設備やシステムなどの生産を手掛けるエネルギー企業のSiemens Energyは、ITインフラの脱炭素化を主な目的として、同社がオンプレミスのインフラで稼働させているSAPアプリケーションと、製造部門やサプライチェーン部門に関連するデータを全てGoogleのクラウドサービス群「Google Cloud Platform」(GCP)に移行させるプロジェクトを開始した。
Siemens Energyの最高情報責任者(CIO)キアン・モッサネン氏は、移行先のインフラとしてGCPを選んだのは、Googleの持続可能性に関する取り組みだけが理由ではないと言う。「クラウドサービスへの移行によって可用性とスケーラビリティを実現させるだけでなく、当社の想定を超えて事業が成長するよう促してくれるパートナーを探した」とモッサネン氏は述べる。
「GCPを選択すれば、エネルギー業界で重要な、システムの信頼性向上とダウンタイム短縮が実現できると考えた」とモッサネン氏は言う。「協力とイノベーションというGoogleの文化も、大規模なデジタルトランスフォーメーションを始めるときの最適なパートナーになった理由だ」
GCPでヨーロッパ・中東・アフリカ(EMEA)担当プレジデントを務めるアデア・フォックスマーティン氏は「持続可能性が企業のテーマとなり、消費者の習慣やエネルギー業界への要求が変化する中で、エネルギー市場は急速に進化している」と言う。「クリーンなクラウドインフラでSiemens Energyのデジタルトランスフォーメーションを支援し、事業の成長を支える技術インフラの構築に協力できることを光栄に思う」(フォックスマーティン氏)
GoogleとSiemens Energyの技術提携の発表の場は、Googleが2021年10月に開催したオンラインイベント「Google Cloud Next」だった。同イベントでは、GCPを契約した他のユーザー企業の事例も明らかになった。
こうしたユーザー企業の一つに、ドイツの物流企業Deutsche Postがある。同社はGoogleとの長年のパートナーシップを拡大させ、データ転送量のピークに応じてインフラを拡張できるよう、GoogleのAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)管理サービス「Apigee」をクラウドインフラに導入した。
Google Cloud NextでGoogleは、米国のファストフードチェーンWendy'sとの提携も発表した。Wendy'sは、GCPのデータ分析や人工知能、ハイブリッドクラウド分野のクラウドサービス群を活用し、ドライブスルーやモバイルアプリケーションを利用する顧客の注文体験を改善しようと考えている。
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