「Zoom」会議で首切り900人のユニコーン企業 何を考えていたのか?パンデミックで苦境に立たされるFinTech企業

Web会議で900人に解雇を伝えたFinTech企業のCEOが批判を浴びている。一方で人員整理に踏み切るFinTech企業は、この1社だけではない。業界の現状を紹介する。

2022年01月13日 05時00分 公開
[Karl FlindersTechTarget]

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 評価額約70億ドルのユニコーン企業(評価額が10億ドルを超える非上場企業)Better HoldcoのトップがWeb会議ツール「Zoom」を使った会議で、900人の従業員に解雇を告げた。「YouTube」「TikTok」といった動画共有サイトへの投稿動画で明らかになった。

 Better Holdcoはオンライン住宅ローンサービス「Better.com」を運営するFinTech(金融とITの融合)企業だ。FinTech企業を含むITのスタートアップ(新興企業)は、業績が悪化するといきなり人員を削減することがある。Better.comは、削減の規模とその発表方法から批判を浴びている。

FinTechユニコーン企業が「Zoom会議で900人解雇」に踏み切った訳

 Better HoldcoでCEOを務めるビシャル・ガーグ氏は2021年12月、Zoomを使ったWeb会議で「この会議に参加している皆さんは、解雇される不運なグループだ」と対象の従業員に解雇を通告した。同社でCFO(最高財務責任者)を務めるケビン・ライアン氏は、この会議で従業員の「約9%が解雇された」と説明する。ライアン氏は「断腸の思いだ」と胸の内を明かしつつも、解雇によって強固なバランスシートと、よりスリムで筋肉質な体制を構築し、「進化を遂げる持ち家市場で攻勢をかけることができる」と話す。

 解雇を告げるWeb会議の中でガーグ氏は、解雇を告げるのは自身のキャリアで2度目だと話した。加えて同氏は解雇対象者に、「(解雇は)本意ではない。前のときは泣いてしまった。今回は強くありたいと思う」と伝えた。

 ニュースサイト「Daily Beast」によると、解雇された従業員の1人は次のように述べている。「彼らはわれわれをお払い箱にした。われわれは創業時から在籍し、会社のために、そして自分の役割を果たすために、懸命に働いてきたにもかかわらずだ」

 FinTech業界は人材が生命線だと言われることがある。だが同業界は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)の初期段階で大規模な人員削減が相次いだ。

 例えば通信社Reutersの2020年6月の報道によると、チャレンジャーバンク(銀行免許を取得して銀行サービスを提供するFinTech企業)のMonzo Bankは、従業員を最大120人削減した。パンデミックによる混乱で打撃を受けたためだとみられる。インターネット経由で資金を貸し借りするピアツーピア(P2P)融資を手掛けるLendingClubも2020年4月、パンデミックにより融資サービスの需要が減少したことから、460人の従業員を解雇すると発表した。同社は2007年に設立し、早くからP2P融資市場に参入していた。

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