経営幹部は概して、テレワークやハイブリッドワークといった新しい働き方が生産性に悪影響を与えるのではないかと懸念している。実際はどうなのか。調査レポートを基に考察する。
Slack Technologiesの調査組織Future Forumが発表した国際調査レポート「Future Forum Pulse」2022年10月版によると、経営幹部をはじめとするリーダーは、テレワークなどの新しい働き方による生産性への影響を懸念している。実際のところ、悪影響はあるのか。調査結果を基に考察する。
2022年10月版のレポートは、Future Forumが2022年8月に、日本や英国など6カ国の労働者1万766人を対象に実施した調査に基づく。リーダーを含むフルタイム(週30時間以上勤務)のデスクワーカーが回答し、自らの体験や感情を「非常に悪い」(スコア:−60)から「非常に良い」(スコア:+60)の5段階で評価した。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)により、テレワークやハイブリッドワーク(オフィスワークとテレワークの組み合わせ)といった、個人の都合に合わせた働き方が拡大している。こうした新しい働き方に関して、経営幹部が抱く懸念の一つが、生産性の低下だ。Future Forumの調査によると、経営幹部が深刻な懸念事項として挙げた項目のうち、生産性の低下は2番目に多かった。
従業員の視点では、テレワークの普及をはじめとする働き方の変化は、むしろ生産性の向上につながっている。Future Forumの調査では、労働時間を選べる従業員は、そうではない従業員よりも、生産性に関するスコアが高かった。働く場所を選べる従業員の生産性スコアは、常にオフィスで勤務する従業員よりもわずかに高い。
「パンデミック前の働き方に戻ることは、企業文化の強化と生産性の向上において逆効果になる」と、Future Forumはレポートで指摘する。企業のリーダーは、それよりも有意義な管理上の変更に焦点を置き、燃え尽き症候群や離職などの深刻な問題に対処する方がよいという。
Future Forumの共同創設者でバイスプレジデントのシーラ・スブラマニアン氏は、「私たちは今も、職場のパラダイムシフトの真っただ中にある。リーダーはその重圧を感じている」と話す。景気後退や働き方の変化を巡る従業員との攻防は、リーダーが自信を持って指揮することを一層難しくしている。「もはや古いリーダーシップの指南書に頼ることはできない」(スブラマニアン氏)
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