「古いバックアップシステム」は“危険だ”としか言えない理由古いバックアップシステムに潜む危険【前編】

Cohesityの調査によると、およそ半数の企業がバックアップや復旧に古いシステムを利用していた。同社はこの状況に警鐘を鳴らしている。その理由とは。

2022年11月07日 05時00分 公開
[Stephen WithersTechTarget]

 バックアップツールベンダーCohesityの調査では、約半数の回答企業がデータのバックアップと復旧に、10年以上前に設計した古いシステムを使用していることが明らかになった。同社はこの状況に警鐘を鳴らしている。

「古いバックアップシステム」が危険な理由

 調査は米国、英国、オーストラリア、ニュージーランドの企業に勤務するITとセキュリティの意思決定者約2000人を対象としており、2022年4月にCohesityの委託先である調査会社Censuswideが実施した。

 驚くことに、回答者の46%が「2010年以前に設計されたバックアップシステムと復旧システムを利用している」と答え、約5%が1990年代のシステムを利用し続けていた。

 近年、複数のクラウドサービスを併用する「マルチクラウド」や、クラウドサービスとオンプレミスシステムを併用する「ハイブリッドクラウド」でシステムを運用する企業の動きが広がっている。データの保存先に関する回答割合は以下の通り。

  • オンプレミスシステム:41%
  • パブリッククラウド(リソース共有型の利用形態):43%
  • プライベートクラウド(リソース専有型の利用形態):53%
  • ハイブリッド構成(オンプレミスシステム、パブリッククラウド、プライベートクラウドのうち複数を併用):44%

 バックアップや復旧に古いシステムを用いると、運用形態の多様化に伴う課題に対処できなかったり、クラウドサービスが提供するデータ保護の新機能を利用できなかったりする場合がある。年月の経過とともに構造化データと非構造化データの量が膨大になれば、古いシステムではそのデータの量やファイル形式に対処できない可能性もある。

 古いバックアップシステムは、サイバー攻撃がもたらす脅威、特にランサムウェア(身代金要求型マルウェア)が関わる脅威に対処するように設計されていない。これは、攻撃への対処能力の低下につながる。調査では回答企業の60%近くが、自社のITチームとセキュリティチームが効果的に連携して攻撃に対処できるかどうかについて懸念を示している。

 Cohesityでオーストラリアおよびニュージーランド担当マネージングディレクターを務めるマイケル・アルプ氏は、次のように警告する。「自社が、古いシステムを用いて重要なデータを管理している場合、ITチームやセキュリティチームは警鐘を鳴らすべきだ」

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news073.jpg

社会人Z世代の休日の過ごし方 関東と関西の違いは?
大広若者研究所「D'Z lab.」は、37人へのインタビューと1000人へのアンケートを基に、社...

news175.png

製造業の8割が既存顧客深耕に注力 最もリソースを割いている施策は?
ラクスは、製造業の営業・マーケティング担当者500人を対象に、新規開拓や既存深耕におけ...

news105.jpg

「生成AIで作った広告」が物議 そのとき、コカ・コーラはどう動いた?
生成AIを広告制作に活用し、議論を呼んだCoca-Cola。この経験から何を学んだのか。