欧州の大学は「没入型ハイブリッド教育」に注力している。先駆的に取り組みを進めるのが、ポルトガルのヴィゼウ工科大学(IPV)だ。どのような技術を使い、何を目指しているのか。
無線LANの業界団体Wireless Broadband Alliance(WBA)はポルトガルのInstituto Politécnico de Viseu(ヴィゼウ工科大学、IPV)と手を組み、無線LAN規格「Wi-Fi 6E」(IEEE 802.11ax)と無線LANローミング技術「WBA OpenRoaming」を組み合わせた実証実験を実施した。IPVは両者の組み合わせによって何を実現しようとしているのか。
今回の実証実験では、IPVが学内イベントの開催に使用している1400平方メートルの会場に、Extreme Networksの、Wi-Fi 6E準拠の無線LANアクセスポイント「AP4000」 を4台設置した。Broadcom、Intel、Samsung Electronicsは、Wi-Fi 6E準拠の無線LANモジュールを搭載したノートPC、スマートフォン、タブレットといったデバイスを提供した。今回の実証実験では、AP4000の最大データ伝送速度に近い、最大1.7Gbpsのダウンロード速度が確認されたという。
IPVは今回の実証実験を踏まえ、拡張現実(AR)や仮想現実(VR)といった技術も採用し、遠隔から講義に参加しながらも、まるで講義室にいるかのような学習体験の提供を目指している。これを「没入型ハイブリッド教育」と呼んでいる。
WBAは、今回の実証実験の主な成果として、没入型ハイブリッド教育の提供が可能であることを実証できたことを挙げる。欧州の大学はIPVに限らず、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)を背景に、没入型ハイブリッド教育を取り入れることに注力。教育方法の多様化に加え、学生を最新技術の利用に慣れさせることによって、就職に必要なスキルを身に付けてもらう狙いもある。
IPVのシニアネットワーク管理者、ルイス・アルメイダ氏は「Wi-Fi 6Eによって、学生が講義室にいても遠隔で講義を受けても、差のない学習体験を得られるようにしたい」と述べる。IPVは、同大学がキャンパスを置くヴィゼウの自治体に地域無線LANのインフラも提供している。Wi-Fi 6Eを活用し、大学関係者のみならず、地域住民にも高速通信の無線LANを提供する狙いだ。
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