「Wi-Fi 6E」の企業導入が進まない。専門家の間には、企業がWi-Fi 6Eをスキップして「Wi-Fi 7」を待つ可能性が高いとの声がある。何が普及を妨げているのか。
標準規格「IEEE 802.11ax」に基づいて、業界団体Wi-Fi Allianceが定めた無線LAN規格「Wi-Fi 6」。その拡張版である「Wi-Fi 6E」に準拠したネットワーク機器の供給が停滞している。それを背景に、企業はWi-Fi 6E準拠機器の導入を見送り、次の世代の規格である「Wi-Fi 7」(IEEE 802.11be)の登場を待つ可能性が高まっていると調査会社Dell'Oro Groupはみる。
半導体をはじめとした部品の供給不足が長引く中、ネットワークベンダーが受注に応じ切れず、ユーザー企業がWi-Fi 6E準拠機器を手に入れにくい状況が続いている。そうした環境下では、Wi-Fi 6Eへのアップグレードがスムーズに進まないため、アップグレードのタイミングをWi-Fi 7の登場時期までずらす企業が増えるとDell'Oroは予測する。
Dell'Oroは世界で事業展開しているシステムインテグレーター(SIer)から小規模なリセラー(再販会社)までを対象に聞き取り調査を実施し、Wi-Fi 6E準拠機器の導入が低迷していることが分かった。同社のタム・デローロCEO(最高経営責任者)によると、ユーザー企業の関心はもともとWi-Fi 6EよりもWi-Fi 6にあった。そうした状況に「Wi-Fi 6E準拠機器が入手困難な問題が加わった」とデローロ氏は述べる。
デローロ氏は「Wi-Fi 6Eの需要低迷は今後も続く可能性が高い」と言う。ユーザー企業はWi-Fi 6E準拠機器の採用を検討する際、納期と価格を重視し、Wi-Fi 6Eにどのようなメリットがあるかを慎重に考える。その結果、Wi-Fi 6準拠機器でも「十分に使い物になる」と判断し、Wi-Fi 6E準拠機器の導入に踏み切らないユーザー企業があると同氏は説明する。
今後もWi-Fi 6E準拠機器の導入が進まないと考えられるもう一つの要因は、ネットワークベンダーにある。各社は部品の供給不足を受け、部品調達済みの既存製品の設計改善に集中する方針を明らかにしている。そのためWi-Fi 6Eに関する新規投資をあまりせず、準拠機器の品薄状態が続くとデローロ氏は見込む。
後編は、Wi-Fi 6EとWi-Fi 7を巡るネットワークベンダーや部品メーカーの動きを追う。
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