「Wi-Fi 6E」が平凡になって「Wi-Fi 7」が超絶 無線LANの行く末はある調査を基にした「Wi-Fi」の先読み

無線LANの業界団体が実施した調査で、「Wi-Fi 6」や「Wi-Fi 6E」の採用見通し、「Wi-Fi 7」の登場時期など今後の動向が分かった。無線LANのローミングにも期待が寄せられているという。

2021年11月16日 05時00分 公開
[Joe O’HalloranTechTarget]

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 無線LANの業界団体Wireless Broadband Alliance(WBA)は、無線LAN規格の「Wi-Fi 6」やその拡張版である「Wi-Fi 6E」の採用見通し、次の世代の規格である「Wi-Fi 7」(IEEE 802.11be)の注目点などを調査した。WBAが2021年10月に公開したレポート「WBA Annual Industry Report 2022」は、通信規格やローミング方法など無線LAN技術のトレンドについて幅広く報告している。

 Wi-Fi 6の拡張版であるWi-Fi 6Eは、Wi-Fi 6の周波数帯2.4GHzと5GHzに加えて、6GHz帯が使える。そのためWi-Fi 6よりも広い用途に使われる可能性がある。

Wi-Fi 6Eの採用見通し、Wi-Fi 7の注目点は?

 レポートによれば、6GHz帯はリアルタイム通信を必要とする、比較的新しい用途に使われる見込みがある。世界の国内総生産(GDP)の約54%を占める41カ国が6GHz帯の使用を承認しており、3億3800万台以上のWi-Fi 6E準拠デバイスが2021年内に市場に出回る。2022年までに、Wi-Fi 6準拠デバイスの総出荷台数のうち、6GHz帯を利用するデバイスの出荷台数は約20%になる。

 Wi-Fi 6またはWi-Fi 6Eの採用率についてもレポートは報告している。2022年末までに導入、または導入計画を立てる組織は約83%になるという。調査対象は世界のユーザー企業、サービスプロバイダー、機器メーカーなどだ。Wi-Fi 7など、新しい技術の概要や既存技術の変更点についても同レポートはまとめている。Wi-Fi 7は超高速という意味で「EHT」(Extremely High Throughput)とも呼ばれ、Wi-Fi 6の約3倍に相当する最大30Gbpsのデータ伝送速度が可能になる見通しだ。WBAの予測では、2025年までにWi-Fi 7準拠デバイスが市場に登場する。

Wi-Fiのローミングシステム

 レポートは、WBAのローミングシステム「WBA OpenRoaming」の動向についても報告している。WBA OpenRoamingを使うと、異なる無線LANに安全かつ自動的に接続できるようになる。接続のたびにその無線LAN専用のパスワードを入力する必要はない。調査時には「スマートシティーの商業的成功にとって、ローミングは重要な無線LANの機能だ」という回答が寄せられたという。

 既にWBA OpenRoamingを導入済みの組織もある。医療サービス事業者のAdventist Healthも病院内の無線LANに導入した。欧州の一部の自治体もWBA OpenRoamingの導入を進めている。調査では、都市規模の無線LANに関与する回答者のうち、約70%が都市規模のローミングを提供する計画だと回答した。

 レポートは「5G」(第5世代移動通信システム)とWi-Fi 6の連携に対する業界の関心も高まっていると報告している。WBAのCEO、ティアゴ・ロドリゲス氏は「通信事業者は無線LANを活用して5Gサービスの提供エリアや通信容量を拡大することに関心を寄せている」と述べている。

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