「Wi-Fi 6E」と「Wi-Fi 6」は同じなのに“全然違う”理由「Wi-Fi 6E」を前提にした無線LAN【前編】

Wi-Fi 6の拡張版である「Wi-Fi 6E」には期待が持てそうだ。どのような点が過去の無線LAN規格と大きく異なるのかを説明しよう。

2021年08月06日 05時00分 公開
[Lee BadmanTechTarget]

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 「Wi-Fi 6E」とは、業界団体Wi-Fi Allianceが規定する無線LAN規格「Wi-Fi 6」の拡張版だ。Wi-Fi 6E、Wi-Fi6は両方とも標準化団体IEEEの規格「IEEE 802.11ax」の機能群を基にしている。そのため大きな違いはないが、Wi-Fi 6Eはある点で無線LANの利用を大きく変える可能性がある。

 Wi-Fi 6Eは、Wi-Fi 6が使っていなかった新しい周波数帯を利用する。これが注目を集める要因の一つだ。基本的に無線LAN規格は「2.4GHz」と「5GHz」の周波数帯を利用してきた。これら2つの周波数帯は無線LANの利用が広がっていることを受けて混雑している。

Wi-Fi 6Eが追加する周波数帯とそのインパクト

 2.4GHz帯の周波数帯は無線LAN以外の用途にも使われ混雑している。米国の場合は2.4GHz帯で干渉なく利用できるチャネル(20MHzごとの帯域幅)は3つしかない。

 5GHz帯は干渉なく利用できるチャネルが2.4GHz帯よりも比較的多い。干渉なく利用できる周波数帯が広くあれば、複数のチャネルを束ねて使うチャネルボンディングによって40MHz、80MHz、160MHzなど、より広い帯域幅でデータ伝送することも可能だ。

 ただしうまい話には裏がある。チャネルボンディングは小規模な孤立したネットワークでない限りデメリットを生み出す要因にもなる。チャネルを束ねることで、利用できるチャネル数は減ってしまうため、多数のデータ送受信が発生する場所で使うには注意が必要だ。

 Wi-Fi 6Eは新たに6GHz帯の1200MHz幅の新しい周波数帯を利用できるようになる。5.925GHz〜7.125GHzの免許不要の周波数帯だ。これによって20MHz幅で新たに59チャネルを確保できる。

 そうした広い帯域を確保することで、少なくとも一部の周波数帯はPC専用に割り当てるなど、干渉のない安定した通信を実現できるようになる。ただしモバイルデバイスの場合は搭載するアンテナが少ないなどの制約があることもあり、広帯域を有効に使えるかどうかに疑問が残る。それでも周波数帯の増加は、Wi-Fi 6と比べた場合にWi-Fi 6Eの大きなメリットになるポイントだ。

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