「Zoom」はWeb会議ツールとしての用途だけでなく、さまざまな業界で顧客接点を作り出すためのツールとして変化しつつある。Zoom Video Communicationsが自社イベントで示した「Zoomのクリエイティブな使い方」とは。
Zoom Video Communicationsは2021年9月にオンラインイベント「Zoomtopia」を開催。アジア太平洋(APAC)の企業が同社の製品/サービスを使う事例を紹介した。紹介したのは、アパレル製品の閲覧や購入を促す衣料品店、顧客との対話や本人確認の手続きを促す金融機関の取り組みなどだ。Zoom Video CommunicationsのAPAC責任者リッキー・カプール氏は「ビデオ通話は、今や会議を開催するだけでなく、顧客接点を作るといったビジネスプロセスを実現するものに変化している」と話す。
例えば銀行なら、融資の手続きを最初から最後までWeb会議ツール「Zoom」を使ったビデオ通話で処理できる。Zoom用の拡張機能を提供する「Zoom App Marketplace」(Zoomアプリマーケットプレイス)で、DocuSignのデジタル署名/契約サービスといったサードパーティーアプリケーションを使うことも可能だ。
カプール氏によると、Zoom Video CommunicationsはサードパーティーのシステムにZoomを組み込むことも検討している。特に「APACはスタートアップ(創業間もない企業)や革新的な企業が、世界のどの地域よりも多い」とカプール氏は言う。これらの企業の間には、Zoomを自社のアプリケーションに組み込んで新しい顧客や新しい市場に進出し、より包括的なサービスを提供したいというニーズが高まりつつあるという。
Zoom Video CommunicationsにとってAPACでのもう一つの成長分野は「ハイブリッドワークプレース」だ。これはオフィスや従業員の自宅、または自宅や顧客の場所の近くにあるサテライトオフィスなど、従業員が自由に選択できる「どこでも働ける環境」のことを指す。
会議室用テレビ会議アプライアンス「Zoom Rooms」がこのニーズの鍵になると、カプール氏は説明する。Zoom Roomsのある部屋ではWeb会議の開催も、参加もできる。銀行ならば、見込み客が金融商品について営業担当から詳しい説明を受けたいと求める場面でZoom Roomsを使うことが可能だ。「あらゆる業界が、自分たちにとっての『ハイブリッド』の意味を考えている。そこはますます創造性が高まる世界になる。それこそがわれわれの成長するチャンスだ」と同氏は話す。
後編はZoom Video CommunicationsのAPAC向け成長戦略を紹介する。
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