「Wi-Fi 6E」と無線LANローミング技術「WBA OpenRoaming」を組み合わせてキャンパス内の高速通信を可能にする――。欧州の大学で、業界団体WBAがこうした実証実験を実施した。そもそもWBA OpenRoamingとは何か。
無線LANの業界団体Wireless Broadband Alliance(WBA)は2022年9月15日(英国時間)、大学のキャンパスで無線LAN規格「Wi-Fi 6E」(IEEE 802.11ax)を遠隔教育に利用する実証実験に成功したと発表した。WBAによると、実証実験にはWi-Fi 6Eと無線LANローミング技術「WBA OpenRoaming」を組み合わせるテストが含まれている。
WBAとITベンダーがWBA OpenRoamingを共同開発し、2021年に商業化した。ユーザーが公衆無線LANを利用する際、公衆無線LAN用のサービスにログインをする必要があるのが一般的だ。
ログインせずに利用できる公衆無線LANもあるが、セキュリティが課題になっている。WBA OpenRoamingはさまざまな無線LANを相互接続し、ユーザーが無線LAN間を自由に行き来できるようにする仕組みだ。ユーザーはログインの手間を省いて自動的に無線LANに接続し、セキュリティが確保された環境で高速インターネットを利用できるという。
WBA OpenRoamingは第3世代(Release 3)の技術を利用可能になっており、利用できる場所は世界中の約100万カ所に及ぶ。第3世代WBA OpenRoamingはサービスプロバイダーがローミングサービスを提供しやすいよう、ローミングのシステムを作るための法的および管理的なハードルを低くすることを目指している。サービスプロバイダーはWBA OpenRoamingによって、ユーザーが異なる公衆無線LAN間をローミングする場合でも、無線LANの通信速度や安定性といった性能の保証がしやすくなるという。
今回の実証実験の場として、WBAはポルトガルのInstituto Politécnico de Viseu(ヴィゼウ工科大学、IPV)を選んだ。IPVは、ポルトガルで初めてWBA OpenRoamingに参加した機関だという。WBA OpenRoamingの活用によって、キャンパス内にいる学生や教員が屋内外を問わず、どこにいても安定した無線LAN接続ができるようにする目的だ。
WBAは、今回の実証実験がWBA OpenRoamingの本格展開に向けたマイルストーンになったと評価している。実証実験にはIPVの他に、ITベンダーのExtreme Networks、Broadcom、Intel、Samsung Electronicsが協力した。実証実験では、Wi-Fi 6E準拠のデバイスを使い、Wi-Fi 6Eを介して「8K」(8000×4000ピクセル前後の解像度)の映像を、大きな遅延を発生させることなく配信できるかどうかをテストした。IPVは将来、WBA OpenRoamingを実用化し、高解像度の映像によって遠隔教育を提供することを構想している。
後編は、IPVが目指すWi-Fi 6E活用法を紹介する。
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