SAPは保守サポート料金の値上げを発表した。専門家はこの値上げについて、企業が自社のシステムを見直す良い機会になると話す。価格改定の背景と、企業が検討すべき事項とは。
ERP(統合業務)パッケージベンダーのSAPは、同社が提供するソフトウェアの保守サポート料金を引き上げると発表した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるパンデミック(世界的大流行)のさなかにも、同社は保守サポート料金の改定をせずに維持してきた。同社は「保守サポート料金の改定はほぼ10年ぶりだ」と説明する。
SAPは既存のソフトウェア契約の保守サポート料金を、各地域の消費者物価指数(CPI)に基づいて改定する。値上げは2023年1月に実施する。料金改定の理由として同社は、エネルギーコストや人件費、サードパーティーが提供する保守サポート料金の上昇を挙げている。値上げの対象となる保守サポートは以下の通り。
クラウドサービスの契約や、新規でソフトウェアを購入する場合のサポート料金の定価は値上げの対象外となる。
SAPの契約条項では、契約締結から一定期間が経過した後は、毎年の保守サポート料金改定が認められている。この契約条項に沿って、同社は年間保守サポート料金の最大3.3%(地域のCPI率の方が低い場合はCPI率分)の値上げを実施する。
「当社は顧客と率直な対話をするよう心掛け、予測可能な取引条件で、顧客ニーズに合わせた保守サポートを提供している」。SAPは、保守サポート料金の値上げを伝える発表文でそう説明する。「顧客との関係構築に当たって重視するのは透明性で、保守サポートについても対話を継続するよう常に努めている」との説明がそれに続いている。
調査会社Forrester Researchでプリンシパルアナリストを務めるリズ・ハーバート氏は、今回の改定は、契約の締結時や更新時に、適切な契約交渉をすることの重要性を浮き彫りにするものだとみる。「契約で自社を守れることや、起こり得る事態を予測して備えるべきだということを企業に思い出させた」(同氏)
ユーザー企業が先送りにしてきた、“システムのクラウド移行”を社内で話し合う良い機会にもなる。「アジリティ(機敏性)の向上や、意思決定の迅速化、人工知能(AI)技術を活用したアプリケーション稼働を実現するために、多くの企業がクラウドサービスへの移行を進めている」(同氏)
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