2022年10月29日 10時15分 公開
特集/連載

もうすぐ来る「ITエンジニア売り手市場の終わり」ITエンジニアの給与・採用事情【前編】

企業はITエンジニアを積極的に採用しようとしている。ITエンジニアの採用に関する調査レポートから、2022年の採用市場の傾向を読み解く。

[Clare McDonaldTechTarget]

関連キーワード

ERP | プログラマー | 在宅勤務


 転職支援サービスを手掛けるHiredは、2019年1月から2022年6月までに同社が仲介した90万7000件以上のエンジニアの面接を分析し、ITエンジニアの採用市場に関するレポートをまとめた。それによると、2021年から2022年にかけて、米国、英国、カナダのほぼ全職種のITエンジニアが、「給与が上昇した」と回答した。テレワーカーとオフィスワーカーの給与の差が縮まったことも分かった。

ITエンジニアが“強気”になれるのは今のうち?

 あらゆる企業や業界にとってITエンジニアは重要な存在だ。経験豊富なITエンジニアを募集する企業は、採用が難しい現実に直面している。今回の調査において、求人広告を出してから採用までにかかった期間を2021年と2022年で比べた場合、英国、米国、カナダで2022年の方が長かった。英国の企業では2022年の場合平均で68日を要し、2021年の50日から上昇した。一方でテレワーク職の人材採用にかかる平均日数は、調査対象期間中40日からほぼ変動がなかった。

 人材の少なさを理由に、ITエンジニアは強気になっている。今回の調査では、求職者の90%が「雇用側に昇給を拒まれたら新しい仕事を探すか、待遇に関する他の交渉を試みる」と回答。51%は「2023年までに昇給を期待する」という意見だった。

 2022年に雇用側が求職者を面接に呼ぶ「面接リクエスト」(IVR)の件数について、求職者1人当たりの平均リクエスト件数が、求職者の数を上回った。2022年4〜6月、求人広告1件につき求職者は平均2.5人だったが、求職者が面接リクエストを受け取った件数は3.6〜3.7回に上る。調査対象期間のうち求職者の数とIVR数の差が最も大きかったのは2022年2月だ。求職者は1人当たり平均5.9件のIVRを受け取っていたのに対し、求人1件当たりの求職者は平均1.6人にとどまった。

変化する傾向

 IT雇用市場において、求職者の方が優位な状況にあるとは一概には言えない。調査対象者の51.5%は、採用の過程で「求職者の方が雇用側よりも主導権があると感じた」と回答した。他方で27.2%の調査対象者は「2023年までに主導権が雇用側へとシフトする」と答えた。

 求職者の大部分が現職を辞めることを検討していることが、今回の調査で明らかになった。求職者は収入増加のチャンスや、自分にもっと合う仕事の可能性を追い求めている。同時に昇給や自由な働き方の実現に期待を抱いている。HiredのCEOジョシュ・ブレナー氏は、「優秀な人材を引き付け、採用し、つなぎとめるための適切な戦略を遂行する責任は雇用側にある」という考えを示す。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news020.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2023年12月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news091.jpg

倒産する? マスク氏は金持ちなんだから自腹を切ればいいのでは? Xの将来に関する5つの考察【前編】
主にイーロン・マスク氏の言動をきっかけに広告主の離脱が進む中、Xの将来はますます不透...

news034.jpg

世界の一流ブランドはなぜ「ゲーマー」を重視するのか
ブランドがZ世代を理解し、彼らと適切なコミュニケーションを取るためには、何よりもまず...