“英国流オレオレ詐欺師”が荒稼ぎする「だまし」のテクニック英国で活発化する「生活費の危機」に乗じた詐欺【前編】

未曾有のインフレに直面している英国では、生活困難を切り口にした送金の詐欺が急増していることが銀行の調査で分かった。詐欺師はどのような手口を使って被害者をだましているのか。

2022年10月28日 10時00分 公開
[Karl FlindersTechTarget]

 英国ではメディアが「生活費の危機」と呼ぶほど急激にインフレが進み、消費者の生活に影響を及ばしている。それに乗じて、親族や友人を装って生活費の援助という名目でお金を振り込ませる事件が多発していると、英国の銀行TSB Bankはみる。同行によると、2022年7月、同行の顧客を狙った「友人・親族詐欺」(Friends and Family Fraud)の件数は前年同月比58%増加した。件数の9割で、被害者をだますのにメッセージングアプリケーション「WhatsApp Messenger」が使われていたという。

こう言われたら要注意 オレオレ詐欺師の「だまし」テクニック

 TSB Bankによれば、被害者の一人が71歳の顧客だ。娘を名乗る者から「生活費のために至急お金が必要だ」と促され、1700ポンド(約27万円)を振り込んだという。29歳の顧客が親しい友人を装った者から「エネルギー料金の支払いに困っている」と言われ、50ポンド(約8000円)を振り込んだ被害の例もある。どちらの例でも同行は「詐欺返金保証プログラム」を適用し、被害額を全額返金したという。

 2022年7月、TSB Bankで発生した友人・親族詐欺の1件当たりの被害金額は、50ポンドから9500ポンド。平均で1500ポンド(約24万円)だったと同行は説明する。同行によると、友人・親族詐欺は下記のパターンが目立つ。

  • 被害者は、知らない電話番号からメッセージを受信する
  • 被害者は電話の相手から、新しい電話番号に変わった理由について説明を受ける
  • やりとりを進めると、相手が不景気による窮状を訴える
  • その話を信じ込んで、被害者は相手にお金を振り込んでしまう

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia マーケティング新着記事

news083.jpg

FacebookやXなど主要SNSで進む「外部リンク制限」の実態 唯一の例外は?
ソーシャルメディアはかつてWebサイトへの重要な流入経路であった。しかし、最近は各プラ...

news079.jpg

生成AIとAR/VRで失った個性を取り戻す――2025年のSNS大予測(Instagram編)
万能だが特徴のはっきりしない「何でも屋」と化したInstagram。2025年の進化の方向性を予...

news128.jpg

「AIネイティブ世代」の誕生 10代のAI活用度合いは?
博報堂DYホールディングスのHuman-Centered AI Instituteは、AIに対する現状の生活者意識...