英国陸軍は軍人10万人にImmersive Labsのセキュリティ教育を受けさせ、サイバー攻撃に対抗するためのスキルを高める。内部に「セキュリティ専門家」を育てる英国陸軍の狙いは。
英国陸軍は新興企業Immersive Labsのセキュリティ教育サービスを導入する。予備役や事務官を含めた軍人約10万人を対象に、セキュリティに関する能力を測定し、スキルを補強することが目的だ。「人間の脆弱(ぜいじゃく)性」の観点から軍人をセキュリティ専門家に育てることによって、巧妙化しているサイバー攻撃に立ち向かう。
Immersive Labsのセキュリティトレーニングは、受講者がオンラインで、それぞれの能力やペースに応じて学べるようにしている。内容は、堅牢(けんろう)なパスワードの設定やフィッシングメールの見分け方といった基礎知識から、安全なWebアプリケーション開発、インシデント対処といった高度なスキルまで、幅広い分野にわたる。
英国陸軍がImmersive Labsのサービスの導入を決めた背景には、サイバー攻撃の急増や手口の巧妙化がある。英国陸軍サイバーセキュリティ責任者のクリスティーナ・エバンズ氏は、「セキュリティの知識とスキルは、もはやIT担当者だけではなく、軍人全員が持つ必要があると判断した」と述べる。セキュリティトレーニングを通じてセキュリティに精通する人材を育成し、軍人に新たな“武器”を持たせることを目指す。
具体的には、英国陸軍はImmersive Labsのサービスを利用し、セキュリティに関する軍人のスキルを可視化。スキル補強が必要な分野はどこかを洗い出し、軍人にピンポイントで教育を受けさせる。Immersive Labsのサービスは、攻撃の情報収集や防止手法の考案を効率化するナレッジベース「MITRE ATT&CK」をベースにしており、受講者は侵入を防ぐための的確な方法を習得できるという。英国陸軍はImmersive Labsのサービスを継続的に使い、長期にわたって軍人のセキュリティスキルを磨く方針だ。
Immersive Labsのジェームス・ハドリーCEO(最高経営責任者)氏は、「戦場が『サイバー』の世界に広がっている中、セキュリティスキルの強化は欠かせない」と語る。同社は英国陸軍と密に連携し、軍人のスキル補強が必要な分野を正確に示すとともに、スキル取得に当たり軍人を手厚くサポートするとハドリー氏は言う。
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