“脱Excel”より“活Excel”を選んだ送風機メーカー クラウドERPでどう実現?ERPニュースフラッシュ

三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保のクラウドERP導入事例や、SAP S/4HANA移行時の回帰テスト効率化に役立つ製品など、ERPの主要なニュースを紹介する。

2022年09月15日 05時00分 公開
[梅本貴音TechTargetジャパン]

 従来のシステムを撤廃して、新しいシステムを構築すべきか。今あるシステムを生かしつつ、新しい要素を盛り込むべきか――。ERP(統合業務)パッケージの導入や刷新を進める上で、どちらの方針を選ぶかは企業によって異なる。本稿は、クラウドサービス形式のERPパッケージ(以下、クラウドERP)によるシステム共通化を進めた三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険の取り組みや、既存の仕組みを生かしながらクラウドERPを導入したテラルの事例など、ERPに関する主要なニュースを3本紹介する。

“脱Excel”せず“活Excel” 送風機メーカーはクラウドERPでどう実現?

 ポンプと送風機メーカーのテラルは、同社の海外拠点10拠点にマルチブックのクラウドERP「multibook」を導入した。テラルの本社拠点はSAPのクラウドERP、海外拠点はローカルの会計ソフトウェアやMicrosoftの表計算ツール「Microsoft Excel」を用いて、経営情報を個別に管理していた。同社は為替換算機能と12言語翻訳機能を有する点を評価してmultibookを導入。multibookの機能「マネジメントコックピット」を活用することで、本社のクラウドERPや各拠点のツールを引き続き利用しながら、本社が全拠点の業績を一括で確認できるようにした。同社は各拠点の経営状況をリアルタイムで一括して可視化することで、為替変動といった外部要因が事業に与える影響を迅速に把握し、対処できる体制を構築した。(発表:マルチブック<2022年8月4日>)

三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保がOracleのクラウドERP導入 狙いは?

 MS&ADインシュアランスグループホールディングス傘下の三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険は、経費管理システムを共通化した。インボイス制度や電子帳簿保存法改正といった法制度への対処をしやすくする。採用したOracleの「Oracle Fusion Cloud Enterprise Resource Planning」(Oracle Fusion Cloud ERP)は、クラウドサービス群「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)で稼働するクラウドERPだ。2社はOracle Fusion Cloud ERPを活用し、経費のデータ入力から支払いまでの一元管理や社内経費の可視化を進め、ガバナンスを向上させる。必要な機能をそろえていたことに加えて、インフラであるOCIのリソース拡張の容易さを評価し、Oracle Fusion Cloud ERPを選択した。(発表:日本オラクル<2022年8月4日>)

SAP ERPからSAP S/4HANAへの移行時の回帰テストを効率化 ベリサーブが新製品

 ベリサーブはSAPのERPパッケージ「SAP S/4HANA」に関する回帰テスト(システム変更の影響を確認するテスト)を支援するソフトウェア「SAPシステム DBレコード比較プログラム」(以下、DBレコード比較プログラム)を2022年8月1日に提供開始した。DBレコード比較プログラムは、SAP S/4HANAのデータベース管理システム(DBMS)「SAP HANA」にある複数のレコード(データベースで扱う1件分のデータ群)を自動的に比較する。旧バージョンの「SAP ERP」からSAP S/4HANAへの移行やSAP S/4HANAのバージョンアップの際に、システム変更前後のレコードを比較しやすくすることで、回帰テストを効率化する。参考価格は、1契約につき200万円未満(税込み)。SAPが推奨する、同社システムの効率的な稼働に必要な構成「ランドスケープ」ごとの契約となる。開発機と検証機、本番機の構成のランドスケープの場合、いずれか1機にプログラムを導入すれば、ランドスケープ全体でのレコード比較が可能となる。(発表:ベリサーブ<2022年8月1日>)

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