「SAP S/4HANA」導入大学のSIer選びと“脱オンプレミス”の決め手とは?コロナ禍の大学ERP導入事例【中編】

「SAP S/4HANA」を活用して基幹システムの刷新に取り組んだペンシルベニア州立大学。システムインテグレーターやインフラの選定をどう進めたのか。その決め手は。

2020年09月23日 05時00分 公開
[Jim O'DonnellTechTarget]

関連キーワード

ERP | SAP | 教育IT | 基幹システム


 プログラミング言語「COBOL」で開発した手組みの基幹システム「IBIS」(Integrated Business Information System)の刷新に取り組んだPennsylvania State University(ペンシルベニア州立大学)。同校が新基幹システムの中核要素として採用したのが、SAPのERP(統合業務)パッケージ「SAP S/4HANA」だ。

 ペンシルベニア州立大学はSAP S/4HANAの採用を決定した後、新基幹システム「SIMBA」(System for Integrated Management, Budgeting and Accounting)構築プロジェクトを始めた。この段階で同校が契約したシステムインテグレーター(SIer)は、公共セクターの案件を中心に手掛けるSAPのパートナー、LSI Consultingだった。

 「SAP S/4HANA導入プロジェクトを成功させる上で、LSI Consultingとの関係は不可欠だった」。ペンシルベニア州立大学の金融・ビジネス担当シニアバイスプレジデント、デービッド・グレー氏はこう語る。

SIer選びと“脱オンプレミス”の決め手とは

 ペンシルベニア州立大学はSAP S/4HANAを取り扱った経験がなかった。一方で人事・給与管理を担うWorkdayの同名SaaS(Software as a Service)、学生情報管理を担うOracleのERPパッケージ「Oracle PeopleSoft Applications」といった学内で利用している他のシステムとSAP S/4HANAを連携させる必要があった。「SAP S/4HANAの内側と外側を知っているパートナーが必要だった」とグレー氏は言う。

 「多数のプロジェクト管理を協調的に推し進め、システム連携のあらゆるポイントを事前に理解し、適切に設計できるようにする上で、極めて効果的な導入パートナーだった」。グレー氏はLSI Consultingをこう評価する。

 ペンシルベニア州立大学は、Microsoftのクラウドサービス群「Microsoft Azure」を使ってSIMBAを運用することも決めた。これは「自前でサーバを保有・運用することから離れる」という同校の決定に従う措置だった。

 「われわれの中核事業は学生の教育と最先端の研究であり、システムの開発やサーバ群の運用ではない」とグレー氏は強調。SIMBA開発の初期段階から「可能な限りクラウドサービスを使ってホスティングすることが望ましいと考えていた」と説明する。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia マーケティング新着記事

news132.jpg

ハロウィーンの口コミ数はエイプリルフールやバレンタインを超える マーケ視点で押さえておくべきことは?
ホットリンクは、SNSの投稿データから、ハロウィーンに関する口コミを調査した。

news103.jpg

なぜ料理の失敗写真がパッケージに? クノールが展開する「ジレニアル世代」向けキャンペーンの真意
調味料ブランドのKnorr(クノール)は季節限定のホリデーマーケティングキャンペーン「#E...

news160.jpg

業界トップランナーが語る「イベントDX」 リアルもオンラインも、もっと変われる
コロナ禍を経て、イベントの在り方は大きく変わった。データを駆使してイベントの体験価...