新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっていた2020年第2四半期のPC市場は、前年同期比でプラス成長となった。その理由とは何か。この好調は今後も続くのか。
2020年第2四半期(2020年4月~6月)のPC市場はプラス成長となったもようだ。調査会社のGartnerとIDCは2020年7月、それぞれ2020年第2四半期の世界PC出荷台数が前年同期比で増加したと報告した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)に伴う在宅勤務などのテレワーク向け需要にけん引された形だ。
COVID-19が長引く中、企業のPC需要は堅調に推移していると、Gartnerは指摘する。企業がテレワーク環境の整備を引き続き進めているからだ。ただし景気の先行きは不透明であり、PC市場の今後は必ずしも安泰だとは言えない。
Gartnerは、PC市場は2021年には縮小に転じるとみる。企業が景気低迷に直面するからだ。同社によると、2020年のPC市場は成長を続けるが、第2四半期ほどの好調が以後も続くことはない見通しだ。第2四半期におけるPC市場成長の一部は、流通業者の在庫補充によるものだと同社は指摘する。
IDCは、テレワーク向けのPC需要の拡大に伴い、2019年の年末商戦後のPC在庫が減少したと説明する。同社によると、在庫補充と中国のサプライチェーンの回復に支えられ、第2四半期のPC出荷は増加した。
COVID-19の感染再拡大に伴い、政府は新たな外出禁止令を検討する可能性があると、Gartnerは指摘する。実際、米国カリフォルニア州は2020年7月中旬に、感染者数と入院者数の増加を受けて、パンデミック関連の行動制限の一部を再開した。
2020年の間は、企業はパンデミック対策に費用を投入し続けるとGartnerは予想する。一部の企業は購入予算を総動員し、さらには2021年予算も取り崩して、事業継続のための予算を確保しようとしている。その結果、企業の支出は2021年には減速する見通しだと同社は述べる。落ち込みの度合いは、国の経済がパンデミックによる長期の景気後退に陥るかどうかに左右されるという。
IDCは、PC販売は近いうちに鈍化するとみる。テレワーク向けのPC需要は残っているが、企業は景気悪化に直面し、支出を抑えるだろうと同社はみる。
IDCによると、2020年第2四半期の世界PC出荷台数は、前年同期比で11.2%増加した。これに対し、Gartnerの発表では、前年同期比2.8%の増加にとどまった。両社の発表では、PC市場のカテゴリーに含めるデバイスの種類が異なる。両社が発表した第2四半期の出荷実績では、HPとLenovoがトップグループで、それぞれ約25%の市場シェアを獲得した。Dell、Apple、Acerがこれに続き、それぞれ3~5位を占めた。
テレワークの主要ツールであるノートPCが、PC市場成長の原動力となった。調査会社Canalysによると、ノートPCの出荷が前年同期比で24%伸びたのに対し、デスクトップPCの出荷は同26%減となった。
2020年第2四半期のPC出荷の増加は、第1四半期と著しい対照を示した。GartnerとIDCは第1四半期のPC出荷については、それぞれ前年同期比12.3%減、同9.8%減と報告していた。両社はCOVID-19のパンデミックに伴うサプライチェーンの混乱をその原因に挙げていた。
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