「Teams」のデータを失いたくない人のためのバックアップとリストアの注意点ベストプラクティスを紹介

「Microsoft Teams」のデータを保護するためのバックアップとリストアの設定は複雑になりがちだ。特に注意すべき点とベストプラクティスを紹介する。

2020年09月21日 08時30分 公開
[Brien PoseyTechTarget]

 Microsoftのユニファイドコミュニケーションツール「Microsoft Teams」(Teams)は、企業にとって一段と重要なツールになった。以前からTeamsの利用は広がってはいたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行で在宅勤務などのテレワークの重要性が高まったことで、普及がさらに勢いづいた。

 チャットメッセージ、画像、ドキュメント、録画映像、ボイスメール、連絡先など、Teamsでやりとりされるデータは多岐にわたる。そのため大容量のデータを扱うその他のツールと同様、Teamsのデータの定期的なバックアップが重要だ。バックアップは、データ損失によるビジネスへの損害を防ぐことだけではなく、コンプライアンス(法令順守)要件を満たす上でも求められる。

Teamsの「バックアップ」はここに注意

 企業がTeamsのデータを保護する上では、綿密に計画を立てなければならない。まずはMicrosoftがTeamsのデータをどこに保存するのかを理解する必要がある。

 Teamsのバックアッププロセスは、やや複雑になっている。Teamsはサブスクリプション形式のオフィススイート「Microsoft 365」(旧称:Office 365)に含まれるツールであるということが、その主な理由だ。

 市場にはMicrosoft 365のさまざまなバックアップツールが出回っている。メールサーバ「Exchange」やファイル共有・ポータル構築ツール「SharePoint」、オンラインストレージ「OneDrive for Business」といったMicrosoft 365ツールのみを標準的なバックアップ対象とするツールもあり、その場合Teamsは対象外になる。Teamsと同様に、タスク管理の「Microsoft Planner」や社内SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)「Yammer」などのMicrosoft 365ツールも、たいてい標準ではバックアップ対象になっていない。

 Teamsのバックアップで注意すべき点はもう一つある。Teamsのデータ保存先があちこちに分散することだ。例えばTeamsのプライベートチャットで共有されたファイルはOneDrive for Businessに、「チャネル」という小グループ内のチャットで共有されたファイルはSharePointに保存される。ボイスメールや連絡先といったデータの保存先はExchangeだ。これは各データを全てバックアップするには、OneDrive for Business、SharePoint、Exchangeをそれぞれバックアップするしかないことを意味する。

Teamsの「リストア」はここに注意

 残念ながら、Teamsのデータをリストア(復旧)する際は、バックアップ時よりも問題が発生しやすい。

 バックアップツールでTeamsのファイルやWiki(社内情報共有ツール)のデータをリストアできたとしても、通常はデータ削除前と同じように利用できるわけではない。たいていの場合、リストアしたデータをTeamsで使えるようにするために、追加のステップを踏まなければならない。Wikiであれば新しいWikiを作成し、リストアしたデータをそこに貼り付ける必要がある。

 こうしたTeamsのリストアの制約を踏まえて、2つの役立つベストプラクティスがある。1つ目は、常にMicrosoft 365の標準機能である「アイテム保持ポリシー」を有効にすることだ。アイテム保持ポリシーは、一定期間の経過後にデータを自動的に削除したり、逆に一定期間の間はデータの削除を不可能にしたりできる。アイテム保持ポリシーによってデータ保持の期間を設定しておけば、対象のデータはその期間中であれば消失することはない。場合によってはアイテム保持ポリシーを使用する方が、バックアップツールからリストアするよりも手間がかからないだろう。

 2つ目のベストプラクティスは、バックアップツールを常に最新の状態に保つことだ。Teamsを他のツールと連携させるためのAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)である「Microsoft Teams API」を介して、外部のバックアップツールと連携できる。Microsoft Teams APIは新しいため、まだ自社ツールに組み込んでいるバックアップベンダーは多くはない。時間とともにバックアップベンダーはMicrosoft Teams APIを使用して、より効果的にTeamsのバックアップを支援する機能を提供するようになると考えられる。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

鬮ォ�エ�ス�ス�ス�ス�ス�ー鬯ィ�セ�ス�ケ�ス縺、ツ€鬩幢ス「隴取得�ス�ク陷エ�・�ス�。鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�、鬩幢ス「隴主�讓滂ソス�ス�ス�ス鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�シ鬩幢ス「隴乗��ス�サ�ス�」�ス�ス�ス�ス

製品資料 Okta Japan株式会社

製造業のセキュリティを支える、アイデンティティー管理の重要性

製造業では、サプライチェーン構造の複雑化に伴い、セキュリティ対策の統制が困難となっている。中でも適切に管理されていないアイデンティティーは深刻な脅威となっており、その対策として「アイデンティティー管理」が注目されている。

製品資料 フォーティネットジャパン合同会社

クラウド/オンプレのハイブリッド環境を統合的に可視化する最適な方法とは?

クラウド移行する企業が増え、この流れは加速することが想定されるが、一方でオンプレミスは現在も活用されている。このハイブリッド環境ではデータが分散するため、セキュリティの観点から統合的に可視化することが求められる。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

「Windows」のISOファイルを入手できる“意外な経路”

Microsoftは、OS「Windows」のISOファイルを公式の専用Webページで提供している。これに加えて、ユーザーが正規の手段でISOファイルを入手する方法は幾つかある。

製品資料 サイオステクノロジー株式会社

障害発生時のダウンタイムを最小限に抑え、システムの可用性を高める方法とは?

基幹系システムの停止は、企業に経済面や信用面で多大な損害を与える。そのためシステム障害時のリスクを可能な限り低減させるための対策が必要になっている。そこで本資料では、有効なシステム障害対策として、HAクラスタを紹介する。

製品レビュー ServiceNow Japan合同会社

カスタマーエクスペリエンスの向上に期待、サイロ化を解消する統合基盤の実力

カスタマーサービスのサイロ化、問題解決の長時間化などの課題が顕在化している今、CXを変革する方法として、生成AIと自動化が注目されている。これらを活用することで、顧客満足度や問題解決時間はどう変わるのか、3つの実例から探る。

アイティメディアからのお知らせ

驛「譎冗函�趣スヲ驛「謨鳴€驛「譎「�ス�シ驛「�ァ�ス�ウ驛「譎「�ス�ウ驛「譎「�ソ�ス�趣スヲ驛「譎「�ソ�スPR

From Informa TechTarget

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ
ネットワークの問題は「帯域幅を増やせば解決する」と考えてはいないだろうか。こうした誤解をしているIT担当者は珍しくない。ネットワークを快適に利用するために、持つべき視点とは。

郢ァ�「郢ァ�ッ郢ァ�サ郢ァ�ケ郢晢スゥ郢晢スウ郢ァ�ュ郢晢スウ郢ァ�ー

2025/07/07 UPDATE

  1. Windows隲「蟶幢ス・�ス陞ウ�カ邵コ遒�スゥ螢ケ�・邵イ骰ャinux邵コ阮吮落隴幢スャ陟冶侭竊馴明�ェ騾包スア邵コ�ス邵コ�」邵コ貅伉€髦ェ�ス雎コ�ア邵コ�ス轤企€包スア
  2. Mac邵コ�ォ隲「蟶カホヲ邵コ謔滂スー�ス邵コ髦ェ笳�クイ竏壺落邵コ蜉ア窶サWindows邵コ�ッ郢ァ繧�夢邵コ�ィ驍ィ�カ隴帛ク吮味邵コ�」邵コ�ス
  3. 邵コ�ス竏ェ邵コ霈費ス蛾蜜讒ュ��邵コ�ェ邵コミヲindows邵イ邊Zper-V邵イ髦ェ�ス闔画��オ�ス竏ゥ邵コ�ィ遯カ諛会スサ�ョ隲��ウ陋ケ謔カ�ス陜難スコ驕牙ッつ€�ス
  4. Mac邵コ�ォ隲「蟶カホヲ邵コ謔滂スー�ス邵コ髦ェ笳�滋�コ邵コ蠕個€菫Jndows邵コ阮吮落驍ィ�カ隴帛ク吮味邵コ�」邵コ貅伉€髦ェ竊定ォ「貅伉ァ郢ァ迢礼j騾包スア
  5. 邵コ阮呻ス檎クコ�ス邵コ莉」�ス驕擾ス・邵コ�」邵コ�ヲ邵コ鄙ォ窶ウ邵コ貅假シ樒クイ菫Jndows隴厄スエ隴�スー邵イ髦ェ�ス陜難スコ隴幢スャ邵コ�ィ遯カ諛キ�、�ァ陋サ�ス竊題ョ匁コッ�ス遯カ譏エ竊堤クコ�ッ
  6. Dell郢ァミ彿crosoft郢ァ繧育スイ關灘ク卍€ツ€遯カ諛キ�セ�ケ陟取�蝎ェ遯カ譏エ竊鍋ケ晢ソス�ス郢ァ�ソ郢ァ蜻茨スカ莠・謔臥クコ�ァ邵コ髦ェ�狗ケ晢ソス�ス郢晢スォ4鬩包スク
  7. 髫ア�ー郢ァ繧奇スァ�ヲ郢ァ鄙ォ笳�クコ荳岩�邵コ�スホ樒ケァ�ャ郢ァ�キ郢晢スシ郢ァ�「郢晏干ホ懃クイツ€邵イ蠕娯�郢ァ鄙ォ竕�邵コ蛹サ笘�恪霈費ソ・邵イ髦ェツー郢ァ蟲ィ�ス髢シ�ア陷奇スエ雎戊シ費ソス�ス�ス
  8. Mac隲「蟶幢ス・�ス髢��ス窶イ邵イ菫Jndows邵コ�ッ闖エ�ソ邵コ�ス竊鍋クコ荳奇シ樒クイ髦ェ竊定ォ「貅伉ァ郢ァ驫€ツ€諛�ソス陷サ�ス騾ァ�ス竊鷹囎竏晏ア冗ェカ�ス
  9. 邵イ譬裕陷ソ�イ邵コ�ォ陷キ髦ェ�定ーソ荵昶�郢ァ�キ郢ァ�ケ郢晢ソスホ帝ォォ諛キ�ョ�ウ邵イ�ス8鬩包スク
  10. 邵イ讙趣スオ�ス�ケ逧ョ蝎ェ郢晢スャ郢ァ�ク郢晢スェ郢ァ�ィ郢晢スウ郢ァ�ケ邵イ髦ェ竊堤クイ譴ァ�・�ュ陷榊衷蝎ェ郢晢スャ郢ァ�ク郢晢スェ郢ァ�ィ郢晢スウ郢ァ�ケ邵イ髦ェ�ス邵コ�ゥ邵コ�ス��クコ�ス�ス邵コ蜈キ�シ�ス

「Teams」のデータを失いたくない人のためのバックアップとリストアの注意点:ベストプラクティスを紹介 - TechTargetジャパン システム運用管理 髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€鬮ォ�ェ陋滂ソス�ス�コ�ス�ス

TechTarget驛「�ァ�ス�ク驛「譎「�ス�」驛「譏懶スサ�」�趣スヲ 髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€鬮ォ�ェ陋滂ソス�ス�コ�ス�ス

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...