災害が起きた場合、IT部門は迅速かつ正確に必要な措置を講じなければならない。そこで活躍するのがAI技術だ。災害の発生前から発生中、発生後に至るまで、AI技術が役に立つ7つの分野を紹介する。
災害復旧(DR)という企業の利害に大きく関わる分野において、人工知能(AI)技術はビジネス上の意思決定を支援し、復旧業務の効率化に貢献する。DR計画の策定、自社に最適な災害対処方法の決定といった業務に、AI技術を活用する動きがある。
災害への対処は極めて重要な業務であり、ミスは許されない。AIツールをDR計画に組み込む際は、AIツールが最も効果を発揮する分野を慎重に検討し、平常時に動作をテストしておく必要がある。
AI技術は現在も進化を続けているため、現時点でDR関連業務にAI技術を全面的に組み込むことはあまり現実的ではない。だがDR戦略におけるさまざまな場面で、AI技術が効果的に機能し、運用を改善できる見込みがある。以下に、災害対処と復旧においてAI技術が貢献し得る7つの分野を示す。
災害対処と復旧においてAI技術が活躍する段階は、災害発生前、発生中、発生後の3つに分けられる。
AI技術がどのような場面で活躍するのかを、7つの具体的な例を取り上げて解説する。
机上演習は、DR計画を検証するための正確かつ信頼性のある手法だ。AI技術を活用したDRツールは、テストシナリオの作成や、DR計画が実際にどう機能するのかを確認するためのテスト実施を支援する。これらのテストシミュレーションはDR計画において不可欠な要素であり、その妥当性、正確性、完全性を確保する上でAI技術が役立つ。
災害発生時においてAI技術は、常に同じ基準で復旧措置やデータ管理などのタスクを実行できる一貫性と、実行結果をあらかじめ予測できる予測可能性を備える。予測や分析に基づいて、フェイルオーバー(予備のシステムへの自動切り替え)やデータレプリケーションといった措置を自動で実施することも可能だ。こうした仕組みは、予期しないシステム障害が発生した際に、IT管理者が迅速な行動を取るための助けになる。
AI技術はさまざまな情報源から得たログデータを関連付け、素早く分析できる。この能力はサイバー攻撃や自然災害によるシステム停止、企業システム全体に影響を及ぼす設定ミスなどに対して、素早く対処する際に有用だ。
コミュニケーションはDRにおいて重要な要素だ。多様な関係者、法執行機関、初期の対処要員、従業員、顧客に対して、サービスの中断と安全に関する懸念事項などの必要な情報を伝えなければならない。以下に示す場面において、AI技術は円滑なコミュニケーションを後押しする。
AI技術を活用することで、膨大な量のデータを迅速に集約して分析し、災害時におけるシステム監視体制を構築できる。リアルタイムなシステム監視は、サイバー攻撃やクラウドサービスの障害といったより広範なインシデントを予測し、早期に警告することも可能だ。
複数のクラウドサービスを併用するマルチクラウド、クラウドサービスとオンプレミスシステムを併用するハイブリッドクラウドなどの複雑な構成のシステムが正常に稼働するには、相互に連携したサービスやそれを支えるネットワークが不可欠だ。そうしたサービスやネットワーク、サーバなどのリソースに優先順位を付けることは、最も重要な機能を優先して復旧するために役立つが、困難な作業でもある。AI技術はそれらのリソースを適切な順序で復旧して、通信を確立させたりシステムを稼働させたりする役割を果たす。障害に対する自動応答は、判断の一貫性や実行速度に優れているため、優先順位に基づく復旧手順に組み込むとよい。
DRのために手動で過去データを分析することは容易ではない。自然災害の報告書を詳細に調べ、人為的ミスのパターンを探し、起こり得る全ての問題を予測することは複雑な作業だ。AIモデルはデータを迅速に分析して、企業がDR計画の指針にできる結論を導き出せる。
AI技術の災害対処能力は、AIモデルが参照できるログや災害対処事例が増えるほど向上することが見込める。自社で実施したDR訓練の結果や、他社が蓄積したDR関連のデータからも、恩恵を受けることが可能だ。
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