DR(災害復旧)分野にはさまざまな専門用語が存在する。似た用語の混同はDR計画の致命的欠陥になり得る。担当者が正確に理解しておくべき、12個のDR用語を取り上げる。
災害やサイバー攻撃による事業中断は、企業にとって大きな脅威だ。危機的状態から事業を復旧させるDR(災害復旧)を実行するには、担当者間での的確なコミュニケーションが欠かせない。その基礎となる12個のDR用語を解説しよう。
Redundant Array of Independent Disksの略で、複数のHDDを組み合わせて1台のHDDとして扱う構成方法を指す。単一のHDDの障害リスクを軽減するデータ保護方法として活用できる。データを複数のHDDに分散させることによって、データの読み取りを高速化したり、障害時のデータ復旧を可能にしたりできる。代表的なRAID構成は以下の通りだ。
災害時にどれだけ古いデータまで失うことが許容されるのかを表す指標だ。自社が扱うデータを評価し、データごとにどの程度の損失が許容できるかを見極めて設定する。例えば損失したデータが社内文書の場合、24時間の損失が許容されるが、販売管理情報であれば15分の損失しか許容されないといったケースが考えられる。これらの評価に基づいて設定したRPOを参照して、バックアップのスケジュールを設定すべきだ。
災害後、どれだけ迅速にデータを復旧する必要があるのかを表す指標だ。継続させるべき業務と、それに関連するサービスレベル契約(SLA)を特定した上で設定する。重要な業務を継続させられない場合の影響も見極める必要がある。例えば顧客情報を格納したデータベースで障害が発生した場合、復旧時間が1営業日を超えると致命的な売上損失につながりかねない。そのため、この場合は8時間以内などより短いRTOを設定する必要がある。
同一機能を持つ複数の機器を使用して単一障害点を排除し、一部で障害が発生しても全体の機能を維持できる状態であることを指す。冗長化をするには、まず単一障害点を特定し、冗長化する方法を検討することが必要だ。以下に冗長性がある構成の例を挙げる。
削除もしくは変更したファイルを、バックアップから元の状態に復元する処理を指す。エンドユーザーからの一般的な要求だ。
システムをバックアップから以前の状態に戻す処理を指す。OSの更新で問題が発生した場合やストレージに障害が発生した場合に実行する。通常はOSの設定情報が復元対象になる。
災害や障害、サイバー攻撃による損失の度合いを指す。損失にはシステム停止、データ喪失、機密データの流出などがある。リスクごとに数値を割り当てて優先順位を付けた上で、それぞれのリスクに対する脆弱(ぜいじゃく)度を掛け合わせてリスクレベルを算出する。リスクレベルの計算は、DR(災害復旧)計画の策定時に企業が実施すべきリスク評価の一部だ。
サービス利用者とサービス提供者の間で、提供するサービス品質の水準、責任範囲を規定する契約を指す。SLAはサービス利用者とサービス提供者の両方の説明責任を明確にする。
システムやネットワーク内で、それが故障すると全体が正しく機能しなくなる部分を指す。社内LANが1台のルーターでインターネットに接続している場合、そのルーターが単一障害点だ。そのルーターに障害が発生すると、拠点全体のシステムがインターネットに接続できなくなる。単一障害点の特定と対策は、DR計画において極めて重要だ。
システムの特定時点を複製したデータを指す。通常はディスク全体が複製の対象になる。迅速なロールバック、特にテスト環境を設定済みの状態にする際に活用できる。バックアップとは異なり、一般的には長期的なDR対策ではなく、短期的な修復に用いる。
危害、損害をもたらす原因を指す。必ずしも意図的なものだけではなく、自然災害、サイバー攻撃、システム障害などがある。
脅威の被害を受けやすい弱点を指す。ソフトウェアのバグや欠陥、従業員による不適切なセキュリティ慣行、暗号化されていない通信プロトコルやネットワークなどがある。
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