災害やサイバー攻撃でシステムが停止した際、DR(災害復旧)用語の理解不足が復旧の大きな障壁になり得る。知っておかないと現場で混乱しかねない、7つのDR用語を解説する。
業務の中断や停止に備え、企業が復旧のために取る対策をDR(災害復旧)と呼ぶ。IT分野では特に、データ、サービス、ITインフラの復旧を意味する。
危機的状況では、明確なコミュニケーションが不可欠だ。DRには幅広い取り組みと技術が関わるため、作業を担当する従業員同士でDR関連の用語について共通の認識を持っておくことが重要になる。用語に対する共通認識があれば、問題を迅速して復旧作業を進めたり、関係者に状況を的確に伝えたりできるようになる。本連載は、DRを計画、実行する上で、IT担当者、DR担当者、管理職が理解しておくべき主要なDR用語27個を紹介する。
ストレージの障害に備え、データ、アプリケーション、システム設定などを別のストレージにコピーしておくことを指す。主に3種類の方法がある。
災害発生中および発生後に事業を運営し続ける能力を指す。事業継続計画(BCP)の策定時には、起こり得る問題と障害が発生し得る箇所の特定に加え、許容できるダウンタイム(停止時間)に関するサービスレベル契約(SLA)など、法的要件を確認しよう。事業継続性では、データとITインフラの完全な復旧よりも、業務の継続を優先する。DRとまとめて「事業継続性およびディザスタリカバリー」(BCDR)と呼ぶこともある。
危機や災害が業務に与え得る影響を評価するプロセスを指す。社内担当者、もしくは社外のコンサルタントがデータを収集し、結果を評価する。その結果に基づいて、既存のDR計画に加えるべき改善について経営幹部と協議する。
危機や災害時において、従業員、利害関係者、一般市民、その他の関係者に情報を開示することを指す。現在は自動緊急通知システムを使用し、状況を公開することが一般的だ。
事業を継続させるために、DRに必要な機能をまとめたクラウドサービスを指す。自社でフェイルオーバー(待機系への切り替え)の仕組みを構築することとの費用対効果を考え、DRaaSを選択するかどうかを決めるとよい。
危機や災害時における業務復旧手順の計画書を指す。洪水やサイバー攻撃など特定の危機に特化したDR計画を策定する企業もあるが、一般的には危機の種類を問わない、オールハザード型のDR計画を策定する。DR計画書には通常、目的と目標、重要なパスワードと認証情報、従業員の連絡先情報、備えるべきリスク、メディアへの応対方法を記載する。過去にDR計画を使用したことがある場合は、その際のデータも含めるとよい。
危機や災害時にデータを引き継ぎ、業務をする物理的な代替拠点を指す。主に以下の3種類がある。
次回は、8~15個目の用語を解説する。
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