ソフトウェアベンダーPowerSchoolへの攻撃によって、全米の教育機関で生徒と職員の個人情報が漏えいした。流出したのはどのようなデータなのか。攻撃の全貌に迫る。
2024年12月、教育機関向けソフトウェアを手掛けるPowerSchoolが攻撃を受けた。この攻撃により、同社ソフトウェアを利用している教育機関の生徒と職員の個人情報が流出したという。どのような情報が流出し、被害者はどのようなリスクにさらされているのか。日本の教育機関にとっても対岸の火事ではないこの攻撃。その詳細を解説する。
PowerSchoolによると今回の攻撃は、生徒と職員の情報が保存されている同社のデータベースを使用している教育機関に影響を与えた。正確な数は不明だが、米国でPowerSchoolのソフトウェアが広く採用されていることを考えると、情報漏えいの規模は決して小さくはない。
PowerSchoolによると、今回の攻撃によって以下の個人情報が流出した。
一部の学区では過去のデータも流出したと報告されている。そのため、現役ではない生徒と職員も影響を受けている。
PowerSchoolによれば、盗まれた生徒と職員の個人情報には以下が含まれているという。銀行口座の情報やクレジットカード情報が漏えいした証拠は見つかっていない。
攻撃に関する詳細はまだ公開されていないが、本稿執筆時点での開示情報を踏まえて攻撃の時系列を整理すると以下の通りだ(全て米国時間)。
攻撃を誰が実施したのかを含めて、攻撃の全容は本稿執筆時点で調査中だ。PowerSchoolは米連邦捜査局(FBI)やセキュリティベンダーCrowdStrikeと協力して攻撃の詳細を把握することに注力しているという。
PowerSchoolのデータ流出は生徒と職員を中心とした教育機関の関係者に広く影響を及ぼしている。具体的な影響は以下の通りだ。
攻撃によって教育機関が被害を受けるのは、PowerSchoolの件に限らない。近年、教育機関を直接狙ったランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃も広がっている。2024年は米国やカナダにおいて、教育機関を標的にした数件のランサムウェア攻撃があった。教育機関はセキュリティを強化するとともに、攻撃を受けた際に被害を最小限に抑えるレジリエンス(回復力)を高めるための施策も重視する必要がある。
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