サーバではなくWindows 11の「Hyper-Vが遅い」を解消する方法Windows仮想化のメリットと注意点【第4回】

「Windows 11」などのクライアントOSを搭載するPCでも「Hyper-V」による仮想化が使える。ただしPCでHyper-Vを使う場合は、幾つかの制約が伴う。それを乗り越えて仮想マシンを快適に使うにはどうすればいいのか。

2025年03月25日 07時15分 公開
[Stephen J. BigelowTechTarget]

関連キーワード

Windows 11 | Windows 10 | Hyper-V | OS | 開発ツール


 サーバ仮想化に使われるMicrosoftのハイパーバイザー「Hyper-V」は、「Windows 11」や「Windows 10」といったクライアントOS(デスクトップOS)を搭載するPCでも使用可能だ。仮想マシン(VM)を作成することで物理的なPCに依存しないメリットが見込める。ただしサーバではなくPCでHyper-Vを稼働させる場合、動作に関する幾つかの制限に悩まされる可能性がある。その問題に対処して快適にVMを使うにはどうすればいいのか。

Windows 11の「Hyper-Vが遅い」を解消するには?

会員登録(無料)が必要です

 Windows 11でHyper-Vを利用する場合、制約を克服するのが困難なことがある。通常、クライアントPCで数台のVMを実行するだけでは、費用対効果の高さを追求することはできない。ただしそうした小規模な使い方でも役立つ戦略は存在する。

ソフトウェアを最新の状態に維持

 Windows 11の更新プログラムを定期的にインストールし、Windows 11を最新の状態に保つ。特にハイパーバイザーや仮想化ドライバなどの仮想化コンポーネントに関するアップデートは必ず最新の状態にすること。

ファームウェアの更新

 システムBIOS(Basic Input/Output System)を更新する。BIOS(またはファームウェア)は、システムの起動やハードウェアの動作を制御する基本的なソフトウェアだ。仮想マシンのメモリ管理を効率化する「SLAT」(Second Level Address Translation)のような技術を改善するためのファームウェア更新は必須と言える。コンピュータ内部のデータ転送を管理するチップセットやバス管理を強化するアップデートも注目に値する。

ドライバの更新

 ハードウェア依存のドライバを更新する。VM内のソフトウェアがGPU(グラフィックス処理装置)やネットワーク機器などのハードウェアと通信する必要がある場合、VM内の対応するドライバを更新することでパフォーマンスを改善することができる。Hyper-Vを対象とした特定の安定性とパフォーマンスの強化については、ドライバのリリースノートを確認してほしい。

「Windows Server」を使用

 サーバOS「Windows Server」の使用を検討する。クライアントPCのユーザーが、クラスタリングやレプリケーションなど、クライアントPC向けのHyper-Vにない機能を備えた多数のVMを実行する必要がある場合、変更を検討する価値がある。高パフォーマンスが求められる場合、Windows 11ではなく「Windows Server 2022」以降のサーバOSバージョンに割り当てることで、全体的なパフォーマンスが向上する場合がある。ただし、これは個人や小規模企業にとってはコストがかかる選択肢となる。

他の仮想化ソフトウェアを検討

 異なる仮想化ソフトウェアを試す。クライアントPC向けのHyper-Vは仮想化ソフトウェアの一つに過ぎない。ハイパーバイザー「VMware ESXi」やオープンソースの「Xen」は代替案の一つとなる。だがこれらのツールを採用するには多くの時間とテストを経て、必要なサービスやパフォーマンス、サポートが得られるかどうかを確認することになるだろう。

TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス

米国Informa TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 SCSK株式会社

GUIで見える化を加速、複雑なジョブ管理運用も楽にする注目のアプローチとは?

ITシステム運用の自動化が進む一方、ジョブ管理の複雑化も加速しており、状況把握や障害予測に課題を抱える企業が増えている。そこで注目したいのが、ジョブの見える化と自動化を加速する、あるジョブ管理製品の最新バージョンだ。

製品資料 株式会社野村総合研究所

IT統制のジレンマ、「運用・開発の分離」「品質・効率の改善」をどう両立する?

システム運用と開発の“分離”は、IT統制の観点からも重要だが、その実践にはさまざまな課題が付いて回る。IT運用の品質や業務効率を改善しつつ、IT統制もバランス良く維持するためには、どのようなアプローチが有効だろうか。

製品資料 株式会社野村総合研究所

IT環境がハイブリッド化した現代なのに、なぜ“今こそ運用内製化”なのか

クラウドやオンプレミスに分散し、複雑化しているITシステム。これにより情報システム部門がシステム全体を管理することが難しくなり、アウトソーシングが一般的になった。ただ、こうした状況こそ内製化に取り組んだ方が良いという。

製品資料 株式会社野村総合研究所

システム運用のPDCAサイクルが遅い理由は「C」にあり、その理由と解決策

システム開発の高速化が進む一方、運用面ではPDCAサイクルの短周期化につまずく企業も多い。その原因となるPDCAの「C」について、表面的な数値の計測にとどまらず、継続的な改善を効率よく行うアプローチを、KPIの設定から解説する。

製品資料 株式会社野村総合研究所

導入したのに運用負荷が増えた? OSS監視ツールに潜む“落とし穴”とは

システム監視業務のコスト削減に向けて、OSSの監視ツールを採用する企業は多い。しかし、複数の監視ツールを導入した結果、膨大なメッセージ対応工数に悩まされるケースもある。監視ツール本体に手を加えず、この課題を解決する方法とは。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news040.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news253.jpg

「AIエージェント」はデジタルマーケティングをどう高度化するのか
電通デジタルはAIを活用したマーケティングソリューションブランド「∞AI」の大型アップ...

news163.jpg

「政府」「メディア」への信頼度は日本が最低 どうしてこうなった?
「信頼」に関する年次消費者意識調査の結果から、日本においても社会的な不満・憤りが大...