在宅勤務などのテレワークをする従業員が急増した場合、IT部門はテレワーク中の従業員の業務用端末をどう用意し、どう管理すればよいのか。端末運用の課題と解決策を探る。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策として、在宅勤務などのテレワークを急遽採用した企業は、テレワークの長期化に備え、改めて必要なITを整備する必要がある。前編「コロナ市やLenovoに聞く 『在宅勤務』を継続するために必要なITとは?」に続く本稿は、企業がテレワークの長期化に向けた戦略を立てるためのポイントを説明する。
テレワークの緊急導入を迫られた企業の中には、テレワーク用に従業員へ支給するためのノートPCやスマートフォンをすぐには用意できず、BYOD(私物端末の業務利用)ポリシーを導入せざるを得なかったところもある。外出制限が続く場合、私物端末に対する管理を強化するのか、それとも管理が行き届いた社用端末を支給するのか、決断しなければならない。
どちらを選択するかは「会社の性質による」と、フリーランスアナリストのエリック・クライン氏は言う。「大企業や法規制が厳しい業界の企業は、従業員が社内のデータにアクセスするための手段として、BYODを採用しない傾向にある」(クライン氏)
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う不確実な経済環境では、BYODポリシーという選択肢は「一層魅力的に見えてくるだろう」とクライン氏は語る。テレワークには自宅作業のサポートを強化するための投資も必要になるが、この状況下で予算を確保するのは厳しい場合がある。
ロビンソン氏によれば、一般にBYODポリシーの対象は端末だが、在宅勤務する従業員のために最も必要なのは、スマートフォンやPCよりも自宅の高速インターネット接続環境だ。テレワーク制度を長期的または恒常的に実施する際は、従業員の自宅の通信接続費用を会社の経費で支払うことも考える必要がある。
テレワークへの移行が進めばIT担当者の仕事も変わると専門家は見ている。「IT担当者にとって最大の課題の一つは、自分が触ることのできない端末をどう管理するかだ」と、Lenovoのバイスプレジデント、デービッド・ラビン氏は指摘する。遠隔拠点や出先で仕事をする従業員は、これまでもいたはずだ。しかしこうした従業員が大幅に増えると、端末をどう管理するかが問題になる。
事前設定したPCをベンダーから従業員に直接送るサービスを利用すれば、IT担当者の負担を軽減できる。これまで手作業でやっていた仕事を、ソフトウェアで自動化することも検討した方がよい。
「従業員の自宅を、臨時の仕事場から生産性の高い拠点に変えることも必要になる」とラビン氏は指摘する。従業員の要件によって、ノートPCだけで十分な場合もあれば、モニターやキーボード、ヘッドセット、マウスなどを用意しなければ効率良く仕事ができない場合もある。
クライン氏は、従業員に対する技術サポートの提供方法を考え直すことも必要になってくると話す。「急いでテレワークを可能にしたものの、IT部門への問い合わせが増大して対応に追われているという話をよく聞く」(同氏)
このような場合の解決策としてクライン氏は、マネージドサービスプロバイダーにサポート業務を外部委託して、高度なITサービスを提供する方法を挙げる。
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