「在宅勤務」長期化に備える【前編】
コロナ市やLenovoに聞く 「在宅勤務」を継続するために必要なITとは?
新型コロナウイルス感染症対策のために急いで在宅勤務などのテレワークに移行した企業は、長期化を見据えたIT環境を整える必要がある。具体的に何をすればよいのか。
米国では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって停止していた経済活動の再開が部分的に始まっている。しかし企業の従業員が安心してオフィスに出社できるようになるには、まだしばらく時間がかかる可能性がある。IT担当者は、この先も在宅勤務などのテレワークを続けていくための戦略を用意しなければならない。
新型コロナウイルス感染症の拡大防止策として、企業は緊急でテレワークの導入を迫られた。従業員が自宅から社内のアプリケーションやデータにアクセスできるようにするために、急場しのぎの手段を提供するしかなかった企業は少なくない。テレワークの導入という最初の壁を乗り越えた後は、この先を見据えてテレワークの要件を再確認し、最適な戦略を立てることが必要となりつつある。
業務アプリケーションベンダーMotusの市場調査アナリストを務めるケン・ロビンソン氏は、適切なテレワーク戦略が企業に利益をもたらすと語る。全社的にオフィスに出社する体制へ急いで戻そうとすると、従業員の感覚とずれが生じる可能性がある。たくさんの机が並んでいるオフィスもあり「そのような密接空間に戻ることが不安だと感じる人は多いのではないか」とロビンソン氏は指摘。今後を見据えたテレワーク戦略が重要になってくると説明する。
前中後編にわたる本連載は、テレワーク長期化で企業のIT部門が検討すべきポイントを説明する。
テレワークに必要なITとは
Lenovoのバイスプレジデント、デービッド・ラビン氏は、新型コロナウイルス感染症の流行が企業の制度や従業員の働き方にもたらした変化は「定着する」と考えている。
ラビン氏は、新型コロナウイルス感染症の流行開始後に同社が実施したテレワーク調査や他社から聞き取った内容から、企業におけるコラボレーションツールの必要性が明らかになったと語る。特に企業の間で導入が進んだのは、Web会議ツールだという。
Lenovoがテレワークに関連して重視する分野は「コラボレーション」「セキュリティ」「生産性」の3領域に分かれる。ラビン氏によると、この3領域のうち、エンドユーザーの観点ではコラボレーションの需要が最も高い。
ラビン氏は、テレワークに必要な最も基本的なツールはPCで、多くのナレッジワーカーはデスクトップPCではなくノートPCを選んでいると話す。最近の一般的なノートPCはマイクやスピーカー、Webカメラを内蔵しており、Web会議に適している。
Web会議の専用端末にも需要があるとラビン氏は言う。例えばLenovoが最近発売した「ThinkSmart View」は、音声通話やWeb会議ができる独立したディスプレイ付き端末だ。こうした専用端末を利用すれば、専用端末でWeb会議をしながら、別に用意したPCでメモを確認したり、ドキュメントを編集したり、プレゼンテーションを開いたりできる。
フリーランスアナリストのエリック・クライン氏は、企業の長期的なテレワーク戦略の最優先事項はSlack Technologiesの「Slack」やMicrosoftの「Microsoft Teams」といったビジネスチャットツールだと話す。
在宅コールセンター環境を整えたコロナ市役所
カリフォルニア州コロナ市のCIO(最高情報責任者)を務めるクリス・マクマスターズ氏によれば、同市はテレワークをする職員のためにTeamsを導入した。同市にとって重要なことは、市庁舎で運用しているCisco Systemsの電話システムとTeamsの連携だ。これらの機能をうまく活用するためには、セッションボーダーコントローラー(VoIP通信用のファイアウォールとして機能するゲートウェイ装置またはソフトウェア)をクラウドに配備して、電話システムとTeamsを連携できるようにする必要があった。
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