モバイルデバイスの下取り市場が転換期を迎えている。下取り市場は拡大し、消費者の機種変更の動きが早まっているというのだ。そうした流れはなぜ生まれているのか。調査レポートとともに紹介する。
2024年第3四半期(7〜9月)は、売上高とデバイスの種類の両方でさまざまな節目を記録した期間となった。携帯電話の下取り、機種変更業界の動向についてリスク管理ベンダーAssurantがまとめたレポートによると、同四半期に携帯電話の下取りおよび機種変更を通じて米国の消費者に還元された総額は10億9000万ドルに達し、前四半期から大幅な伸びを見せた。この額は、下取りプログラムと中古デバイス市場の需要拡大を物語っている。
下取りされたデバイス数に関しては、「iPhone」および「Android」搭載デバイスの両方で、初めて5G(第5世代移動通信システム)通信デバイスがトップに立った。なぜこうした変化が生じているのか。
Assurantによると、例年、下取りサイクルは第4四半期にピークを迎え、下取りプログラムを通じた消費者への還元総額は10億ドルに上る。しかし第3四半期でこの額に達したのは、同社のレポート史上初の出来事だったという。
デバイスの使用期間を見ると、消費者がデバイスを保有する期間は2023年と比べて全体的に長期化している。一方で下取りや機種変更で引き取られたデバイスの平均使用期間は、2024年になって初めて短縮した。
2024年第3四半期において、交換プログラムの対象となったデバイスの平均使用年数は、下取りに出された時点で「iPhone」が3.69年、「Android」搭載デバイスが3.38年だった。Android搭載デバイスは、2024年を通じて四半期ごとに平均で4%ずつ短くなる傾向があったとAssurantは分析する。
iPhoneかAndroid搭載デバイスかどうかにかかわらず、消費者が5G通信デバイスを下取りに出す時期が早くなっていることが分かった。2024年第3四半期に下取りに出されたデバイス数は「iPhone 13」が最も多く、「iPhone 11」「iPhone 12」を上回った。Assurantの調査では、これまでにiPhone 11は9四半期連続で首位、iPhone 12は4四半期連続で2位を保っていた。下取りが多かったデバイス上位5種のうち、iPhone 13が占める割合は23.2%に上る。
Samsung Electronics製デバイスの中では、「Galaxy S22 Ultra 5G」が「Galaxy S21」を抜き、Android搭載デバイスの中で最多の下取り数となった。S21は過去5四半期連続で首位を維持していた。
Assurantのエグゼクティブバイスプレジデント兼グローバルコネクテッドリビング&インターナショナル事業担当社長を務めるビジュ・ナイア氏は、こうした動向を「5Gの普及と中古デバイス市場の強さの表れ」だと指摘する。
「消費者は5G通信デバイスを下取りに出して、AI(人工知能)アシスタントなどの強力な機能を搭載した新しいデバイスの恩恵を受けようとしている。その結果、中古デバイスを購入する消費者が高速な5G通信を利用できるようになっている」(ナイア氏)
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