全体的に低迷するスマートフォン市場。AppleやXiaomiなどの大手ベンダーが苦境に立たされる一方で、成長を見せたベンダーもあった。市場に起きた変化や、成長著しいベンダーの動向とは。
調査会社Informa Tech(Omdiaの名称で事業展開)は2023年第2四半期(4月〜6月)の世界スマートフォン市場の業績を発表した。世界的なスマートフォン市場の需要低迷は続いており、景気の影響を受けにくいと考えられているAppleのスマートフォン「iPhone」も例外ではなかった。一方で、著しい成長を見せたベンダーもある。
Appleの2023年第2四半期のスマートフォン出荷台数は約4320万台と、2023年第1四半期比で24.6%減と大幅に落ち込み、前年同期比でも11.7%減少した。2023年第1四半期に首位に迫っていたAppleの市場シェアは、第2四半期には例年並みの16%に低下し、首位の座を失った。
同社は2023年第1四半期(1月〜3月)には「iPhone 14」シリーズで成功を収めたものの、いまや苦境に立たされている。「iPhone 14 Pro」や「iPhone 14 Pro Max」といったプレミアムモデルの販売は好調で、特に高所得層の間で需要が伸びた。一方で、スタンダードモデルのiPhone 14や「iPhone 14 Plus」の販売は、従来のシリーズと比べると振るわなかった。Omdiaでシニアリサーチマネジャーを務めるジャシー・ホン氏は、「例年だと、第2四半期以降はスタンダードモデルがiPhone全体の販売を押し上げるはずだが、2023年は違った」と話す。
厳しい状況に置かれているのはAppleだけではない。中国のスマートフォンメーカーXiaomiは、2023年第2四半期の市場シェアは前年に引き続き3位を維持したものの、出荷台数は前年同期比15.7%減の約3320万台だった。同社が苦戦する背景には、同社にとって最大の市場であるインド市場の低迷があるとOmdiaは指摘する。一方でXiaomiは欧州におけるブランドの地位を築きつつあり、他の中国メーカーが欧州への事業進出に苦戦する中で健闘していると言える。
他にもXiaomiが直面する課題が、OPPO(Guangdong OPPO Mobile Telecommunications)やvivo Mobile Communication、Transsion Holdingsなど他の中国メーカーとの厳しい競争だ。OPPOの2023年第2四半期の出荷台数は、前年同期比10.5%減の約2500万台で、市場シェア4位に落ち着いた。Transsion Holdingsの同期における出荷台数は約2450万台で、前年同期の約1770万台から38.4%増加した。これにより同社はvivo Mobile Communicationを抜き、業界5位のメーカーとなった。
Transsion Holdingsの販売台数は数年停滞していたが、2023年第1四半期に在庫調整(過剰在庫を減らすための調整)を進め、第2四半期から新製品の供給を増やしたことで回復した。Omdiaで主席アナリストを務めるザカー・リー氏は次のように説明する。「Transsion Holdingsはより多くの市場に進出する取り組みを実施し、これが功を奏した」。特に同社は、アジア太平洋地域で、ローエンドモデルのスマートフォン市場をターゲットに販売を強化している。
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