「スパイウェア」による攻撃が広がっていると、Googleのセキュリティ専門家は警鐘を鳴らす。特に注意が必要なのは、「Android」「iOS」といったモバイルOSの脆弱性を突くスパイウェアだという。その危険性とは。
「スパイウェア」のベンダーが、Googleの「Android」やAppleの「iOS」といったモバイルOSの脆弱(ぜいじゃく)性を突くスパイウェアの開発・拡散に注力している――。Googleの脅威分析部隊Threat Analysis Group(TAG)は、こう警鐘を鳴らす。スパイウェアとは、エンドユーザーの行動に関する情報をひそかに収集し、外部に送信するマルウェアのことだ。
Googleのセキュリティエンジニアであり、TAGのメンバーであるクレメント・レシーニュ氏によると、スパイウェアを使う攻撃者が特に標的にしているのは、脆弱性のパッチ(修正プログラム)を適用していないデバイスだ。TAGは企業に対してパッチ適用の重要性を強調するとともに、スパイウェアベンダーの動きに注意するよう呼び掛けている。
TAGは30社以上のスパイウェアベンダーの行動を分析した結果、ある事実を明らかにした。それはスパイウェアベンダー各社が、国とのつながりを持つさまざまな攻撃者集団に、スパイウェアやエクスプロイト(脆弱性悪用プログラム)を販売していることだ。TAGによると、攻撃者は政府関係者やジャーナリスト、人権活動家などに対する攻撃に、スパイウェアを使っている。
2018年、サウジアラビアのジャーナリストであるジャマル・カショギ氏が、トルコのサウジアラビア総領事館で殺害された事件があった。この事件では、犯罪者はAppleのスマートフォン「iPhone」を狙ったスパイウェア「Pegasus」(NSO Groupが開発)を使用し、カショギ氏の行動を監視していたとみられる。
攻撃者がスパイウェアを使うことは自体は、新しい動きではない。ただしレシーニュ氏は「スパイウェアベンダー間で脆弱性をはじめとする技術情報の共有が進んでいる」と指摘。小規模なスパイウェアベンダーでも、ゼロデイ脆弱性(パッチ未提供の脆弱性)をいち早く把握できるようになっていると説明する。こうした状況は「インターネットユーザーにとっての新たな脅威となっている」と同氏は語る。
後編は、脆弱性を悪用した攻撃の実例をさらに取り上げる。
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