かつては破竹の勢いだったスマートフォン市場に逆風が吹いている。一部のベンダーを除いて主要ベンダーの苦戦が続いている。需要低迷の理由や、その背景とは。
調査会社Informa Tech(Omdiaの名称で事業展開)は2023年第2四半期(4月〜6月)の世界スマートフォン市場の業績を発表した。主要ベンダーの出荷台数が落ち込む中で伸びを示したベンダーはあったものの、市場全体としてはスマートフォンの需要低迷が続いている。スマートフォンはなぜ売れなくなってしまったのか。
2023年第2四半期におけるスマートフォンの世界出荷台数は約2億6590万台で、前年同期比9.5%減、2023年第1四半期(1月〜3月)比1.2%減となった。スマートフォンの出荷台数は8四半期連続で前年同期の実績を下回ることとなった。
Omdiaは懸念点として、スマートフォンベンダーの上位3社であるSamsung Electronics、Apple、Xiaomiの出荷台数がいずれも前年同期比で10%以上落ち込んだことを挙げる。上位10社の中で出荷台数が前年同期を上回ったのは、中国メーカーのTranssion HoldingsとHuawei Technologiesだけだった。
出荷台数が減少する要因は幾つか考えられる。その一つが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)の影響だ。スマートフォン需要は、まだパンデミック以前の水準には戻っていない。他にも部品供給不足や、インフレによる消費者需要の縮小など、世界経済が直面する課題がスマートフォン市場にも反映している。
目立つのが、出荷台数で首位だったSamsungの不調だ。2023年第2四半期における同社の出荷台数は約5330万台と業界最多だった一方で、「Galaxy S23」シリーズを発売した同年第1四半期比11.5%減、2022年同期比14.3%減の結果となった。
OmdiaはSamsungの不調の要因として、ミッドレンジとローエンド向けのスマートフォン需要が世界的な景気低迷によって低下したことと、それに伴って同社の「Galaxy A」シリーズの販売台数が大幅に落ち込んだことを挙げる。それでも同社は20%の市場シェアを獲得し、2022年に引き続き業界首位の座を維持している。
後編は、Appleを中心とした各スマートフォンメーカーの動向について紹介する。
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