英国のイーストアングリア大学でCIOを務めるショーン・グリーン氏は、キャンパスを「小都市」と例える。そのCIOとしての課題とやりがいとは。
英国のイーストアングリア大学(The University of East Anglia、以下UEA)で最高情報責任者(CIO)を務めるショーン・グリーン氏は、2022年7月に同校に転職した。CIOとしての任務は、IT設備の整備や運用、データコンプライアンスに至るまで多岐にわたる。1万7000人の学生、4000人の教職員は、200人で構成するITチームのサポートを必要としている。
UEAは1つの小都市のようなものだ。キャンパス内にさまざまなIT需要があることは想像に難くない。1.2平方キロを超えるUEAのキャンパスには、2つのデータセンターがある。「キャンパスにはカフェやスポーツセンター、大学寮、美術館があり、どの設備でもITが必要だ」とグリーン氏は話す。
グリーン氏は、ITに対するニーズの多様性から、UEAのCIO職はこれまでに従事したIT職の中で最もやりがいのある仕事だと考えている。「小都市のITを管理するようなもので、種々雑多な人々で構成されるコミュニティーを管理している」(同氏)
UEAのCIOとしてグリーン氏が過ごした最初の1年はめまぐるしいものだった。ITチームの運用モデルを構築しながら、データ管理手法とIT製品の導入計画を策定。2024年7月までに完了させる必要のあるデジタルトランスフォーメーション(DX)プロジェクトのディレクターも兼務することになった。
グリーン氏によると、DXプロジェクトはUEA全体を対象にしており、施策は容易には進まない。ITチームはさまざまな分野の技術的負債(簡易的な対処の繰り返しによって容易には解決できなくなった問題)に対処し、インフラの入れ替えと刷新に取り組んでいる。研究団体や学生、教職員をサポートする技術活用にも注力している。こうした一連のプロジェクトが完了したら、その後は3年間に渡って約2000万ポンドの投資をする計画だという。
次回は、UEAが取り組む「教職員のIT活用を活性化するためのアイデア」を紹介する。
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