GoogleのモバイルOS「Android」は、スマートフォンを業務に使うことを想定した機能を提供している。「BYOD」(私物端末の業務利用)としてAndroid端末を利用する際に役立つ機能とは。
テレワークを含めて働き方が多様になる中で、スマートフォンなどのモバイル端末を仕事の一部に利用することが一般的になりつつある。業務用端末の管理に掛かる負担やコスト面のメリットから、選択肢の一つになっているのが「BYOD」(私物端末の業務利用)だ。
Googleが提供するモバイルOS「Android」搭載の端末では、ビジネス用途の機能を利用することができる。業務でスマートフォン利用をするのであれば、Androidでどのような機能が使えるのかを押さえておこう。
Googleは、ビジネス用途の端末管理プログラム「Android Enterprise」(旧称:Android for Work)を提供している。このプログラムでは、1つの端末を仕事用と私用とで使い分ける「仕事用プロファイル」という仕組みが利用できる。
仕事用プロファイルは、端末内に隔離された空間を作るコンテナの概念に基づいている。1つのコンテナには業務用のアプリケーションとデータが格納されており、もう一つには私用のアプリケーションとデータが入っている。どちらも同じ端末内にあるが、両者間で情報を共有することはできない。
「モバイルデバイス管理」(MDM)の設定で仕事用プロファイルを登録すると、端末上に新しいコンテナが作成される。業務用の電子メールやカレンダー、連絡先は、自動的に仕事用プロファイルに追加される。他のアプリケーションやデータについても、管理者が選択して仕事用プロファイルへ追加することが可能だ。
仕事用プロファイルを活用すれば、メールクライアント「Microsoft Outlook」やアプリケーションストア「Google Play」を、業務用と個人用で使い分けることができる。業務用アプリケーションには小さなブリーフケースのアイコンが付いており、判別が可能だ。
エンドユーザーが業務用アプリケーションやデータにアクセスすると、Android端末の「サンドボックス」(隔離領域)に移行する。アプリケーションはOS内のサンドボックスで動作し、他のプロセスから切り離される。
業務用アプリケーションに対するセキュリティポリシーの設定も可能だ。例えば管理者は、認証情報の設定やPINコードの入力ポリシーを設定できる。仕事用プロファイルは暗号化されているため、端末の紛失や盗難が発生しても、業務データの安全性確保につながる。
BYODを実践する場合、GoogleのモバイルOS「Android 13」では以下のような機能が使える。
個人用または仕事用どちらかのプロファイルを選択してアプリケーションを開き、それぞれで異なるコンテンツを閲覧することができる。例えば、動画共有サイト「YouTube」のリンクを仕事用Webブラウザで開く場合、プライベートの閲覧履歴は影響しない。プロファイルごとにファイルや写真へのアクセス権を設定することもできる。
「NFC」(Near Field Communication:近距離無線通信)を用いて、資格情報をデータ化した「デジタル証明書」を使用できる。例えば、Android端末を入館証として使うことが可能だ。物理的な証明書の調達や交換のコスト削減につながる。
GoogleのクライアントOS「ChromeOS」を搭載する端末「Chromebook」の機能「スマートフォンハブ」から、Androidの機能を使用できる。仕事用プロファイルへの通知やメッセージを確認したり、写真を表示したりできる。スマートフォンハブ機能でのやりとりは暗号化によって保護される。
後編は、Androidのセキュリティ面における機能について解説する。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
ソフトバンクロボティクスでは、働き方の変化や海外拠点の増加に対応する中で、ゼロトラストセキュリティを前提としたグローバルレベルのIT統制が必要となった。Appleデバイスを業務利用する同社は、どのようなアプローチを採用したのか。
スマートフォンの進化により、「ノートPCとの2台持ち」の必要性は薄れつつある。スマートフォンをノートPCとして使うための便利な方法を解説する。
テレワークの普及に伴い、スムーズな仕事を実現するだけではなく、ギークの知的好奇心さえも満たすガジェットが充実している。ギークが他のギークに“激推し”したくなるガジェットを紹介しよう。
AI(人工知能)技術の活用が広がる中で、スマートフォンの利用はどう変わろうとしているのか。Samsung Electronicsが発表したスマートフォン新シリーズ「Galaxy S24」を例にして、“AIスマホ”の特徴を紹介する。
ネットワークからデバイスを遮断する「機内モード」。それを悪用する攻撃が見つかった。「iOS」搭載デバイスを狙うその手口と危険性とは。
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...
Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。