「iOS」を搭載した「iPhone」と「Android」を搭載したスマートフォンは、どちらも業務利用に十分な機能を備えている。しかし両者には、企業向けの管理機能や端末の価格体系に違いがある。その違いとは。
業務に使うスマートフォンを選ぶ場合、企業はたいていAppleのモバイルOS「iOS」を搭載した「iPhone」と、GoogleのモバイルOS「Android」を搭載したスマートフォンから選択することになる。業務に使える端末としてiPhoneとAndroid端末のどちらかを選ぶには何を見ればいいのか。端末管理や端末価格の観点から、両者を比較する。
企業が業務用のスマートフォンを選択する場合は、IT部門が利用できる端末管理機能が重要な検討事項の一つになる。AppleとGoogleはそれぞれ、ユーザー企業の利用方法に合わせて、モバイルデバイス管理(MDM)のオプションサービスを提供している。MDMに端末を登録することで、IT部門がエンドユーザーの端末の設定やセキュリティ対策手法を管理できる。
iPhoneは「自動デバイス登録」機能を搭載している。この機能を利用することで、ユーザー企業が所有する端末の初期設定やMDMへの登録ができる。自動デバイス登録機能を利用するには、Appleが提供する企業向けの端末導入支援サービス「Device Enrollment Program」(DEP)への登録が必要だ。DEPを利用することで、企業所有のiPhoneをMDMにスムーズに登録して、管理できるようになる。
BYOD(私物端末の業務利用)を実践するユーザー企業向けに、iOSは「ユーザ登録」機能を搭載している。この機能は、エンドユーザーの私物端末をMDMに登録するために利用できる。
Androidは、Googleがユーザー企業向けに、端末管理サービスの「Android Enterprise」を提供している。Android Enterpriseを用いることで、IT部門は自社の端末のセキュリティ対策や管理を詳細に実施できる。AndroidはBYODの向けの機能も搭載している。「仕事用プロファイル」機能を使い業務用と個人用のデータを分離することで、セキュリティとプライバシーを両立させる。
iPhoneとAndroid端末の大きな違いの一つが、端末の価格だ。さまざまなメーカーが提供しているAndroid端末は価格帯に幅がある。200ドルのスマートフォンがあれば、900ドルのスマートフォンもある。選択肢が豊富にあるため、企業は予算に合った端末を選べる。ただしモデルによって機能やバッテリー寿命が大きく異なるため、選択には注意が必要だ。
iPhoneはAndroid端末と比較して、端末の選択肢や価格の幅が限られている。例えば「iPhone 14 Pro」の価格は999ドルから、「iPhone 12」は599ドルからの価格設定だ。旧モデルは安価だが、その分バッテリーの寿命や利用可能な期間が短くなることがある。例えば2023年12月時点で、「iPhone 11」は300ドル以下で売られている場合があるが、同モデルは2025年にはサポートが終了する見込みだ。ユーザー企業はデバイスの使用期間を予測し、投資にしたコストに見合うパフォーマンスが得られるかどうかを検討する必要がある。
第4回は、業務用スマートフォン選びのポイントをまとめる。
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